独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「勤務医」を対象としたアンケート調査を実施し、その結果について公表しました。
この調査は、民間の医療領域専門調査会社(アンテリオ社)が保有する医師モニターのうち、全国の 20 床以上の病院に勤めている 24 歳以上の医師を対象(医院・クリニックの院長は除外)に実施。
配信数は、11,145 票、回収数は 3,528 票(回収率 32.0%)となり、無効票を除いた有効回収数 3,467 票(有効回収率 31.0%)を分析対象としています。
昨今深刻な問題となっている「医師不足」については、現場の医師も当然感じており、全体で見ると68.6%が「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答。また地域別で見ると、「政令指定都市・東京23区」では59.1%、「過疎地域」で働く者の方の割合はより高く、78.5%となりました。
(プレスリリースより引用「図表2:医師の不足感」)
主な勤務先での1週間当たりの実際の労働時間(時間外労働(残業)時間を含む。休憩時間は除く)は、平均で 46.6 時間。診療科別に見ると、「外科」 43.1%、「救急科」41.7%、「脳神経外科」40.2%、「小児科」39.5%となっています。
また、主な勤務先での 1カ月間の平均的な「日直回数」は「1~2回」が 51.0%ともっとも割合が高く、次いで「なし」38.2%、「3~4 回」6.3%、「宿直回数」は、「1~2 回」が 34.8%となっており、次いで「なし」32.6%、「3~4 回」21.8%となりました。
・「救急科」(33.4%)
・「麻酔科」(8.5%)
・「産科・婦人科」(8.2%)
・「救急科」(63.9%)、
・「産科・婦人科」(27.8%)
・「小児科」(21.0%)
(プレスリリースより引用「図表28:患者からの訴訟リスクに対する認識)
宿直1回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4 時間以上」が 52.7%ともっとも割合が高く、次いで「3~4 時間未満」27.7%、「2~3時間未満」10.4%、「2時間未満」5.8%となり、「ほとんど睡眠できない」 3.5%と答える者もいました。
睡眠時間がほとんどないにも関わらず、「宿直翌日」の勤務体制は、「通常どおり勤務する」が 86.2%。このような勤務状況が続くため、当然のことながら、 「疲労感」「睡眠不足感」「健康不安」について、それぞれ「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答した者の割合は、「疲労感」が 60.3%、「睡眠不足感」が45.5%、「健康不安」が 49.2%となっています。
気になるのが、「ヒヤリ・ハット体験」の状況。「ヒヤリ・ハット体験」について、「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」(「ほとんどそうである」「ときどきそうである」の合計)とする割合は 76.9%に。また、患者からの「訴訟リスク」に対する認識の有無別に疲労感をみると、「訴訟リスク」を「感じる」と答えた者のほうが「疲労感」を感じ、その割合は 78.9%となっています。
▼外部リンク
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)
http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/102.htm