倫理審査委員会の承認を得る前に採血
国立大学法人東京医科歯科大学は、医学部附属病院の教授と、難治疾患研究所の教員、大学院生の2名が、国の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に違反していたことを発表しました。
倫理違反となったのは、同大学の難治疾患研究所の実施している臨床研究。362人の患者に対し、インフォームドコンセントを行い、同意書を得て血液を採取していましたが、倫理審査委員会の承認を得る前でした。
(この画像はイメージです)
採血のみで、実験は未実施
東京医科歯科大学では、研究倫理の意識向上のために、「国立大学法人東京医科歯科大学倫理審査規則」や「国立大学法人東京医科歯科大学における研究者の行動規範」を定めてきました。
今回の倫理違反を受け、同大学では
・研究倫理に関する再発防止についての教員研修会を、研究担当理事が各部局を対象に個々に実施する
・学内の臨床研究における情報共有体制の不備を防ぐためには、インフォームドコンセントを患者から得る場合に、研究安全管理室の指導のもと、その説明書に研究課題名、研究代表者名、倫理審査委員会承認番号、承認日を記載することを義務付ける
・研究倫理指針に対する違反者に対しては、厳正に懲戒処分を行う
・学内の臨床研究における情報共有体制の不備を防ぐためには、インフォームドコンセントを患者から得る場合に、研究安全管理室の指導のもと、その説明書に研究課題名、研究代表者名、倫理審査委員会承認番号、承認日を記載することを義務付ける
・研究倫理指針に対する違反者に対しては、厳正に懲戒処分を行う
など、再発防止のための対策を整えるとしています。
なお、研究では採血が行われただけで、その後の実験は行われていませんでした。大学では、患者への対応について、文書による謝罪を行い、採取したサンプルと同意書については、廃棄をするとしています。
▼外部リンク
国立大学法人東京医科歯科大学
http://www.tmd.ac.jp/news/20120921/index.html