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水俣病、水銀濃度が基準値以下でも発症の可能性

読了時間:約 1分10秒
2012年09月13日 AM07:00
水俣病とその症状

水俣病とは、有機水銀による神経疾患である。この病気は、環境汚染によって引き起こされた、人類史上初のもので、「公害の原点」とも言われている。主な症状は、しびれや運動障害、言語障害など。重篤な場合、死に至ることもある。

水俣病の原因物質はメチル水銀。世界保健機関(WHO)は、毛髪の水銀濃度で症状が現れるか否かを判断してきた。

WHOが「成人で神経症状の出現が疑われる最小値」と規定している値は50ppm。しかし、日本政府は毛髪中の水銀濃度を水俣病認定の基準としていない。毛髪中の水銀濃度は短期間で低下しやすいためだ。

昭和40年に行われた水俣病患者への調査結果を再検討

水銀による健康被害は日本国内だけでなく、海外でも報告されている。そういった場合はWHOが定めた50ppmという値を基準に考えられてきたが、その数値を下回っても、症状が現れるケースが多数あることが新潟青陵大の丸山公男教授らの研究で分かった。

具体的に、昭和40年に水俣病特有の症状、つまり神経疾患が認められた成人103人のうち、48人の毛髪中濃度が50ppm未満だったという。

丸山教授は「毛髪の水銀濃度で線引きをするのは危険だ」と指摘している。今回の研究論文は、アメリカの医科学誌へ発表された。

▼外部リンク

Methyl Mercury Exposure at Niigata, Japan: Results of Neurological Examinations of 103 Adults
http://www.hindawi.com/journals/jbb/2012/635075/

丸山 公男氏
http://www.crabclub.net/staff/nsu/detail.asp?module=Public&action=Teacher&teaCode=61

 

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