内視鏡下手術の難しさ
近年、日本ではがんに次ぎ、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患が、死因の第2位を占めている。その手術は、これまで、胸部を大きく切開することが前提とされてきた。しかしそれでは大きな傷も残り、入院期間も長引く。更に、高齢の患者にとっては大きな負担となってしまうものだった。
その問題を解決すべく始まったのが、内視鏡下手術。これは、体の表面に小さな穴を数個開け、そこから内視鏡や専用器具を体内に入れる。そして、その内視鏡に映る映像を見ながら器具を動かし、手術を進めるというもの。
ただ、この内視鏡下手術には高い技術が必要とされ、実際に行える医師は限定されている。
「胸部外科用インテリジェント手術支援ロボット」
東京大学とオリンパス株式会社が試作品を完成させた「胸部外科用インテリジェント手術支援ロボット」は、冠動脈バイパス術など、胸部外科の領域で使用されることを目指し開発された。
拍動下冠動脈バイパス術は、実際に動き続ける心臓上で直径約2mmの血管をつなぎ合わせなければならず、更に肋骨などが手の動きの邪魔をするという、非常に難易度の高い手術だ。
それを、今回の手術支援ロボットでは人間の肩、ひじ、手首に相当する7つの可動箇所を設けることで、障害物を避けながらの対象部位へのアクセス、操作を可能とした。
オリンパス株式会社は、この技術の実際の手術への適用や、その他事業性を含めた実用化を目指す。
▼外部リンク
オリンパス株式会社 プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100145.html