様々な要因が影響し合い事故が発生
大阪市立大学医学部附属病院において、2012年4月10日、バッグバルブマスク(BVM)の組み立てミスのため、患者が低酸素脳症になる医療事故が発生しました。
同病院では、医療事故調査委員会を設置し、事故調査を行ってきましたが、調査報告書がまとまり、公表をしました。
報告書では、この事故は、『BVMの組立て』における「看護師」「BVM」「管理面」の問題と、『BVM組立て後の点検』における「組立て直後の点検時」「救急カート点検時」、そして、『BVMの使用時』における「使用開始時のリークテストの問題」「BVM使用時の異常発見の問題」の、大きな3つの過程が原因となり発生したとしています。
BVMの機能異常が患者の死亡時期を早めたかは不明
この事故は、救命時に使用するBVMの組立て方を看護師が間違えたことで発生しました。しかし、この事故の背景には、看護師だけの問題だけではなく、メーカーによる組立て間違い防止のための安全対策が講じられていなかったことや、組み立て後に点検を行っていれば、組み立てミスに気がついた可能性がありました。
この患者は、事故発生直前に、急激な急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症があり、もし事故が発生していなかったとしても、厳しい状態であったとのことです。調査委員会では、
BVMの点検・管理方法や機種の不統一などの院内の問題、BVMの構造や説明書の不備などの医療機器本体やメーカーの問題、さらに医療機器や安全に対する教育の問題など、様々な要因が影響した
と結論付けるとともに、
医療機器や安全意識向上に対する教育の充実、医療機器管理体制 の整備、医療機器メーカーとの連携、マニュアルの整備
などの再発防止策について、提言を行いました。
▼外部リンク
大阪市立大学医学部附属病院
http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp/
医療事故調査委員会の事故調査報告書の公表について
http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp