大塚製薬株式会社は7月に厚生労働省に対し、バソプレシンV2-受容体拮抗剤の「サムスカ®錠 (トルバプタン)」に関し、水利尿薬として世界初になる「肝硬変における体液貯留」を対象に、効能追加申請をした。
日本国内で肝硬変の患者は約27万人。主としてB型やC型のウイルス性肝炎やアルコール摂取過剰などの原因で発症。肝硬変が進展し肝臓の機能低下があると、さまざまな合併症が発生する。
浮腫、腹水などの体液貯留を抱える患者は約10万人いると言われ、体液貯留があると「お腹の張り」「疲れやすい」「呼吸がしにくい」などの症状が出て水分制限があったりして日常に多くの問題を抱えることになる。
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浮腫や腹水の治療には、水分・塩分制限に加え利尿薬が使われる。利尿薬が効きにくい時は、薬を増量したり、他の利尿薬を加えて治療が行われるが、血中の電解質のバランスが崩れたり腎臓の機能が低下するというおそれもある。
また、利尿薬の効果が弱まる場合もあり、肝硬変による浮腫や腹水の治療において、これまでの利尿薬とは作用機序の異なる新しい利尿薬が望まれている。「サムスカ」は、水だけを出すという新しい作用機序を持つ水利尿薬である。
海外では低ナトリウム血症の治療薬として、2009年6月に米国、8月に英国、ドイツをはじめとして欧州各国で販売開始した。
日本では、水利尿薬として世界初となる心不全における体液貯留の適応症で2010年12月から販売して、世界13か国で販売している。
同社は、バソプレシンV2-受容体拮抗剤のさらなる可能性を追求し、現在治療法がない希少疾病である多発性のう胞腎(PKD)に対し、欧米、アジアでグローバルに本剤の開発を行っています。
▼外部リンク
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2012/
「サムスカ錠15mg」添付文書
http://www.packageinsert.jp/detail/622007201/サムスカ錠15mg