筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉の随意運動に関係する神経系統が選択的に冒される原因不明の変性疾患で、特定疾患(難病)の一つに指定されている。筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害を受ける。
その一方で、体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれる。おもに40~60歳代に発症し、2対1の割合で男性に多く、罹患率は人口10万につき1.4とされている。
患者由来iPS細胞から
京都大学iPS細胞研究所および科学技術振興機構は、患者由来のiPS細胞でALS治療薬シーズを世界で初めて発見したと発表した。
これまでは、運動ニューロンを取り出すことが困難であったため、有効な治験薬の開発が進まなかったが、今回、タンパク質TDP-43をコードする遺伝子に変異を有する家族性のALS患者のiPS細胞から運動ニューロンを分化誘導できた。
これにより、ALSでは、TDP-43の発現量が増え、RNA合成やRNA運搬に関する遺伝子や神経細胞骨格に関する遺伝子発現の異常があることがわかり、RNA代謝に効果がある化合物を作用させると、改善がみられた。非常に画期的な発見で、今後、新薬開発が進むと思われる。
▼外部リンク
京都大学iPS細胞研究所 ニュースリリース2012年8月2日
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/