日本イーライリリー株式会社は、第30回日本骨代謝学会学術集会(7月19~21日、東京)で骨形成促進剤に分類される骨粗鬆症治療薬「フォルテオ®(一般名:テリパラチド)」と、日本では骨粗鬆症患者の治療に広く使用されている活性型ビタミンD3製剤の併用時の血清カルシウム値への影響を調査した「FPAD(Forteo Plus Active vitamin D3)試験」を発表した。
【試験実施の背景】
欧米では、日常診療での骨粗鬆症治療を実施する時、カルシウムとビタミンDが体内に充足していることが義務付けられ、カルシウムと天然型ビタミンD製剤が標準補給剤として広く使用されている。
そのため、骨粗鬆症治療薬の臨床試験は、国内外を問わず、両剤をプラセボ群および実薬群のいずれにおいても補給剤として使用することが標準になっている。
日本では、ビタミンDの補給に活性型ビタミンD3製剤が保険診療上ひろく使用されている独自の治療環境がある。
活性型ビタミンD3製剤は、ビタミンD活性を上昇させることで、腸管からのカルシウム取り込みを促進するなど、いろいろな骨代謝改善作用を備えていることが知られているが、一方で高カルシウム血症のリスクを伴っている。
また、PTH製剤には用法用量による違いはあるが、PTH製剤単剤投与時、投与直後に血清カルシウム濃度の上昇がある場合があり、添付文書の重要な基本的注意の項に注意喚起されている。
また、活性型ビタミンD3製剤との併用時も相加的に血清カルシウム値が増加のおそれがあり、添付文書上の併用注意の項で注意喚起されている。
しかし、骨粗鬆症治療の時、カルシウムと天然型ビタミンD製剤では十分なビタミンDが体内に充足されない場合に、PTH製剤に活性型ビタミンD3製剤を併用されることがあるため、併用時の血中カルシウム濃度の推移を検討した。
フォルテオ®、カルシウム、活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール)を併用時に、血清カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者の割合について検討を行った。
対象患者は55歳以上の骨粗鬆症患者。併用投与後、16~24時間後の血清補正カルシウム濃度(血清補正カルシウム濃度 = アルブミン濃度により補正したカルシウム濃度)が試験前に定めた上限(11.0 mg/dl)を超える患者の割合を併用投与後28日目に検討した。
【試験の結果】
併用投与28日後まで検討の結果、28日目の投薬16~24時間後を含めたいずれの観察時点においても、血清補正カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者は認められなかった。
投与2、4、6時間後に認められた血清カルシウム値の上昇は、16~24時間後には投与前値にもどっていた。これはカルシウムおよび天然型ビタミンDを併用した時に得られている今までの臨床試験の結果と同様であった。
血圧、脈拍数、体温などのバイタルサインの安全性データも、臨床的に重大な変化はなく、有害事象報告においても本剤と因果関係があると判断された有害事象は認められなかった。
▼外部リンク
日本イーライリリー株式会社
https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2012
News2u.net/日本イーライリリー株式会社ニュースリリース
http://www.news2u.net/releases/101137
フォルテオ®(一般名:テリパラチド(遺伝子組換え))皮下注キット添付文書
http://www.packageinsert.jp/search/1/フォルテオ