日本イーライリリー株式会社は、自己注射のため心理的負担が大きいインスリン療法について、患者・医師双方の治療に対する意識・実態を理解するため、医師256名および看護師108名を対象にインターネット調査を実施した。
その一方で、2型糖尿病患者625名を対象にインスリン療法を変更した際の変更前と変更後のQOLのについての観察研究「2型糖尿病におけるインスリン使用実態調査」を実施した。
・調査対象:全国の 2型糖尿病患者にインスリンを処方している医師及び看護師
・調査手法: インターネット調査
・有効回答数: 医師256名(うち糖尿病学会認定専門医123名)、看護師108名
・調査時期: 2012年5月22日~5月28日
調査2:2型糖尿病患者におけるインスリン使用実態調査
・調査対象: インスリン療法を行っている2型糖尿病患者で、本調査期間中に療法の変更を実施する人
・調査手法: 観察研究
・有効回答数:625名
・調査時期: 2009年12月~2010年11月
(日本イーライリリー株式会社プレスリリースより)
医師が2型糖尿病の療法変更を検討する平均ヘモグロビンA1c値は7.8%であるのに対し、実際に変更した平均HbA1c値は8.5%。
また、医師自身が患者と仮定した場合でも変更を検討する数値は平均7.4%と低く、療法変更にあたり意識的なギャップが存在することを示唆している。
また、必要であるにも関わらず、インスリン治療変更ができなかった、経験を持つ医師は7割を超え、多くの医師はインスリン治療の変更にためらいを感じたことがある。
インスリン療法変更を勧めるのをためらう理由として、「回数が増えるのを嫌がると思う」(48%)が最も多く、次いで「指示通りにできない懸念」(38%)であった。
インスリン治療の変更はインスリン種類の変更が83.4%と最も多く、また、全体の23.8%はインスリン種類の変更とともに投与回数の変更が行われている。
2型糖尿病患者のインスリン療法変更前と変更後12週後の変化の調査では、HbA1c値については、-0.37%と有意な低下が見られた。一方、変更前後の患者のQOLは低下しなかった。
今回の調査結果に、天理よろづ相談所病院副院長の石井均氏は「インスリン療法の変更や強化は早期に行うべきで変更による患者さんのQOLに変化はなく、病態の改善が図られるケースが多いため、『注射の回数の増加』や『製剤の追加』といった医師と患者双方の心理的抵抗感やギャップを改善することで、より良い治療を行うことができる可能性が高いと考えられます(1部抜粋)」と語る。
日本イーライリリー株式会社は、イーライリリー・アンド・カンパニーの子会社で、革新的な医薬品の輸入・開発・製造・販売を通じて日本の医療に貢献している。詳細はホームページ参照。
▼外部リンク
日本イーライリリー株式会社プレスリリース
https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2012