紫外線を使ったカメラが、神経外科の常識を覆そうとしている。このシステムは、ロスのセダーズ・サイナイ・メディカルセンターの神経外科医らが開発したもので、将来的には、脳神経外科医が現在の画像解析技術では肉眼では見ることのできない、リアルタイムでの変化を見ることができるようになるとされている。
研究チームでは、このカメラが脳の健康な細胞と、グリオーマ(神経膠腫)細胞を視覚的に見分けることができるようになることを目指し、日夜追跡を続けている。
グリオーマ細胞は、触手のように広がりながら脳を覆っていくため、その輪郭は非常に入り組んだものとなっている。この境界の見分けは、これまで脳神経外科医を大いに悩ませてきた。正常な脳の領域は切除するわけにはいかないが、腫瘍細胞が残ると、すぐに成長してしまう。これまでの画像診断技術を持ってしても、正常な細胞と腫瘍細胞の境界を見分けるのは非常に困難だった。
腫瘍細胞には、ニコチンアミド・ジヌクレオチド・ハイドロジェナーゼという物質が蓄積するが、この物質は健康な細胞では見られない。紫外線カメラは、この物質をとらえて、画像に書き出すように設計されている。このカメラさえあれば、グリオーマ細胞を確実に切除したことが確認できるし、あやまって健康な部分にアプローチすることもなくなる。
主任研究者であるレイ・チュー医師は、この紫外線映像技術は、腫瘍のメタボリックマップを描き出すことができ、これを利用して、脳神経外科医はリアルタイムに正常な細胞と異常細胞を見分け、術中に確認しながら切除作業を行うことができるとしている。
同院の脳神経外科研究機関で神経外科長を勤めるケイス・ブラック医師は、この技術が完成すれば、脳神経治療の技術に革命が起こる述べている。
▼外部リンク
Medical News Today ; Breakthrough Device To Treat Neurological Disorders
http://www.medicalnewstoday.com/
Cedars-Sinai Medical Center
http://cedars-sinai.edu/