遺伝子組み換え技術などで作った生物学的製剤トシリズマブ(商品名アクテムラ)の使用により、子供のリウマチ治療が大きく進歩している。
この薬は関節の炎症を起こす物質の働きを抑えるもので2008年にリウマチ治療に使えるようになった。
子供のリウマチは「若年性特発性関節炎」と呼ばれ1万人に1人の割合で16歳未満の子供に発症し、関節が腫れるなどの症状が起こる。
大人のリウマチとは症状が異なるため、診断が難しくリウマチ特有の関節の腫れや痛みといった症状が出ない患者も多い。
従来はの治療では、まず炎症を抑えるステロイド剤や、関節の痛みを抑える対症療法を行うのが原則で、免疫抑制剤や抗リウマチ薬のメトトレキサートを併用する場合もあるが、それでも症状が改善しない場合にトシリズマブを使うという。
子供の時期にステロイド剤を使うことで、筋力が低下する、太りやすい、身長が伸びなくなるなどの副作用から悩みを持つ患者も少なくないことから、早い段階から生物学的製剤を使うケースも増えている。
トシリズマブは炎症の原因物質に作用するため、効果が出やすく、月に2回の通院で注射し、半年程度で安定した状態になる患者もいる。
トシリズマブを使えばほとんどの患者の症状は治まるが、治療薬としての歴史も浅く、想定外の副作用が出る可能性もあることや、子供のリウマチの診断には専門的知識が必要なことから、しっかり医師と相談した上で治療方針を決める必要がある。
子供のリウマチに対する治療費負担は20未満であれば少額ですむが、20歳異常になると医療負担が生じるため、大人になって炎症が再発した場合には高額な薬代に悩まされる問題もあるという。
▼外部リンク
一般社団法人日本リウマチ学会
関節リウマチ( RA)に対するトシリズマブ使用ガイドライン
http://www.ryumachi-jp.com/info/guideline_TCZ.pdf
子供のリウマチ治療が大きく進歩 生物学的製剤が効果 進行止め症状を抑制 ・日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/
アクテムラ(一般名:トシリズマブ)添付文書
http://www.packageinsert.jp/search/1/アクテムラ
メトトレキサレート(一般名)添付文書
http://www.packageinsert.jp/search/2/メトトレキサレート