検討会、結論出せず
抗がん剤による副作用被害について、国が検討している救済制度創設は見送られる方向になった。13日に行われた厚生労働書の有識者検討会は「現時点では制度の導入は結論が出せる段階にない」との意見書をまとめた。
検討のきっかけとなったのは、肺がん患者に使われる抗がん剤「イレッサ」を巡る訴訟で、副作用で亡くなったとされる患者の遺族らが国と輸入販売会社に損害賠償を求め、昨年1月、国はこの和解勧告を拒否した結果、救済制度の創設が検討された。
重い副作用が起きることを患者が承知した上で使用されることが多いため、医薬品の副作用被害に対する救済制度の対象外とされてきた。
制度創設先送りに
患者の弁護団は「イレッサ」を対象に含めるよう要望し、検討会で制度創設は抗がん剤治療の安全性向上に繋がると意見を述べた。
検討委員からは、抗がん剤の副作用は、がんの症状や放射線治療の副作用などとの区別が難しいことや、訴訟リスクの懸念から製薬会社や医師が抗がん剤の開発や投与に消極的になる可能性があるとの意見も上がった。
今回の検討会では制度導入に対する結論は出なかったが、複数の委員から将来的にデータなどがそろい、環境が整った時点で議論を再開すべきだとの意見が出ている。
▼外部リンク
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/