脳の再生医療実現か
脳の神経細胞は胎児のときにしか作られないと考えられていたが、生きたマウスの脳内で神経細胞を新たに作り出すことに東京大学分子細胞生物学研究所の後藤由季子教授らが成功し米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。
今までも、iPS細胞から神経細胞を作り出し患者に移植する研究がされてきたが、幹細胞は新たに神経細胞を作り出すことがなく、脳の再生医療は難しいとされてきた。
幹細胞の重要遺伝子発見
研究チームはマウスを使った実験で、胎児と生後数日の赤ちゃんの神経細胞を比べ、出生後に働かなくなるHMGAという遺伝子群(非ヒストン性のクロマチンタンパク質をコード(規定)する遺伝子群の一種)に着目し、出生後数日の赤ちゃんマウスの大脳にある神経幹細胞を遺伝子操作しHMGAが働き続けるようにしたところ、神経細胞を作る能力が復活した。
この研究成果は、生きた動物の体内で神経細胞を新しく作り出した初めてのケースになる。
生後に起きた事故や病気で脳を損傷すると元の状態には戻らないと考えられてきたが、後藤教授は、この成果が神経の再生医療実現につながると見ている。
▼外部リンク
東京大学分子細胞生物学研究所「神経幹細胞の若返り因子を発見」
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/pressrelease120718.html