時効凍結の方針
大阪や宮城などの印刷会社の元従業員らが相次いで「胆管がん」を発症し死亡した問題で、全国で労災認定の請求が相次いでいることから、13日厚生労働省は、全国の労働局に時効を理由に請求を門前払いしないよう指示し時効を凍結する方針を打ち出した。
この問題は、大阪市の校正印刷会社の元従業員らに胆管がんが多発し13人が発症し、7人が死亡したことで明るみになり、宮城、東京、静岡、石川などでも計18人が胆管がんを発症し、9人が亡くなっている。
胆管がんを発症した元従業員はいずれも印刷見本を刷る校正印刷作業に従事しており、死亡した7人のうち、5人は2006年以前に亡くなっていたが、印刷機の洗浄剤に含まれる化学物質「1,2-ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」が発症の原因として指摘されたのは今年に入ってからだった。
因果関係を明らかに
労働者災害補償保険法では、休業補償給付などは2年、死亡した場合の遺族給付などは5年で時効としていたが、業務と胆管がんの因果関係が明らかになった場合時効の起算点が変更されるため厚労省は各労働局に指示を出した。
大阪の印刷会社では、防毒マスクを着用せず使用していたことが判明しており、発症年齢が25~45歳と非常に若く、発症率は日本人平均の約600倍と高かった。
厚労省では、今後も専門家によるチームで疫学的調査を行い、胆管がんとの因果関係を明らかにし、その結果によって時効の起算点を決定するとした。
19日には時効を過ぎた元従業員4人の遺族が労災申請する。
▼外部リンク
厚生労働省/報道発表資料
「胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ等について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ez6b.html