免疫疾患の病状をiPS細胞で再現
京都大学iPS細胞研究所の中畑龍俊教授らの研究グループが、希少病である慢性乳児神経皮膚関節(CINCA)症候群の患者からiPS細胞を作り出すことで病状を再現することに成功し、遺伝子変異をもった細胞によって疾患が発症するのメカニズムを解析した。
CINCA症候群は免疫細胞の遺伝子変異が原因で、炎症に関与する特定のタンパク質が過剰に作られることで、皮疹、中枢神経病変、関節症状などを引き起こす。
この疾患については過剰に生産される物質を抑制する薬で治療が行われているが、iPS細胞を使って細胞単位で病態を再現することにより、同様の遺伝子変異による疾患の新たな治療薬開発も期待できる。
痛風やアルツハイマーの治療法開発に期待
京都大iPS細胞研究所、東京大、千葉大の研究チームは、変異が混在している患者2人の皮膚細胞から遺伝子変異のあるiPS細胞と、ないiPS細胞を作り出すことに成功し、遺伝子変異のある細胞のみが特定のタンパク質を過剰に作ることを確認、化学物質による産生抑制に成功した。
CINCA症候群の発症メカニズムは痛風やアルツハイマー病などと共通することが明らかになっており、新たな治療法開発に結びつく可能性があると期待されている。
また、この研究成果は米医学誌ブラッドにも掲載された。
▼外部リンク
京都大iPS細胞研究所 プレスリリース
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/120704-170528.html
血液学専門誌「Blood」
http://bloodjournal.hematologylibrary.org/