がん増殖促すたんぱく質と悪性化メカニズムを発見
東北大と国立がん研究センターなどが、がん細胞の悪性化をもたらす代謝制御メカニズムを発見した。
東北大学大学院医学系研究科の本橋ほづみ准教授らのグループは、正常な細胞の中では酸化ストレス応答を担う制御タンパク質Nrf2が、がん細胞の中では糖やアミノ酸の代謝を変化させることにより、がん細胞の増殖を促進することを突き止めた。
この研究は10日、アメリカの学術誌Cancer Cell電子版に掲載された。
新たな治療法に期待
今までがん細胞は、抗がん剤や放射線照射に対する抵抗性を獲得するものと理解されてきたが、Nrf2が高いレベルで発現しているがん細胞では、細胞の増殖そのものが亢進していることも観察されており、このこともNrf2のがん細胞での働きと理解されているもののメカニズムは不明であった。
がん細胞を注射したマウスを使った実験では、Nrf2を減らす試薬を投与したマウスは、何も投与しないマウスのに比べ腫瘍の増大が3分の1程度に抑制された。
また、酸化ストレス応答を担うはずのNrf2が、がん細胞の増殖を促進するという、がん細胞の悪性化メカニズムの新しい局面が明らかになり、がんに対する、より効果的な治療戦略の開発が期待される。
▼外部リンク
東北大学:プレスリリース 「がん細胞の悪性化をもたらす代謝制御メカニズムを発見」
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20120628_02web.pdf
国立がん研究センター
http://www.ncc.go.jp/jp/
Cancer Cell
http://www.cell.com/cancer-cell/