日本に蔓延しつつある“脱法ハーブ”
“脱法ハーブ”を吸引したために発生した事件や事故などのニュースを、昨年に比べて非常によく耳にするようになってきました。
違法薬物と似た興奮・幻覚作用があるのに法の規制になっておらず、「お香」などと称し、簡単に手に入れることができる“脱法ハーブ”は、行政も手出しができず、対策は後手に回り、野放しの状態となっています。
都内では、今年1月から5月の間に99人の救急搬送要請があり、昨年の約10倍になる勢い。大阪ではアーケードで“脱法ハーブ”を吸引した男が運転する車が暴走するなど、各地でも同じような事件が発生しています。
どうやったら食い止めることができるのか?
これだけニュースになっている“脱法ハーブ”ですが、規制するには時間がかかり、規制しても次から次へ新しい類似成分の薬物が出てくる、「いたちごっこ」が続いています。
そのため、厚生労働省では、2012年6月1日付けで、9物質を指定薬物に指定し、さらに年内中に専用コールセンターを設置し、市民からハーブを含めた「脱法ドラッグ」の情報を収集することにしました。
指定薬物に指定された9物質は下記の通り。
- N-(1-アダマンチル)-1-ペンチル-1H-インダゾール-3-カルボキサミド及びその塩類 (通称:APINACA)
- N-(1-アダマンチル)-1-ペンチル-1H-インドール-3-カルボキサミド及びその塩類 (通称:APICA)
- 2-(エチルアミノ)-2-(3-メトキシフェニル)シクロヘキサノン及びその塩類 (通称:Methoxetamine)
- ナフタレン-1-イル[4-(ペンチルオキシ)ナフタレン-1-イル]メタノン及びその塩類 (通称:CB-13)
- ナフタレン-1-イル[1-(ペント-4-エン-1-イル)-1H-インドール-3-イル]メタノン及びその塩類 (通称:JWH-022)
- 2-(メチルアミノ)-1-(3,4-ジメチルフェニル)プロパン-1-オン及びその塩類 (通称:3, 4-ジメチルメトカチノン)
- {1-[(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル]-1H-インドール-3-イル}(ナフタレン-1-イル)メタノン及びその塩類 (通称:AM1220)
- 2-(2-メトキシフェニル)-1-{1-[(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル]-1H-インドール-3-イル}エタノン及びその塩類 (通称:Cannabipiperidiethanone)
- (2-ヨードフェニル){1-[(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル]-1H-インドール-3-イル}メタノン及びその塩類 (通称:AM2233)
(厚生労働省のページより)
また、新たなホームページを作成し、そのページから「脱法ドラッグ」に関する注意喚起を促していきたいとしています。
なお、厚生労働省では、人体に悪影響がある「指定薬物」に77種類を指定していますが、違法薬物と成分構造が似ていれば一括して規制や摘発ができる「包括指定」を導入し、規制を強化する方法を、現在検討しています。
▼外部リンク
厚生労働省 薬物乱用防止に関する情報
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/
薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ
http://www.dapc.or.jp/