生まれたばかりの赤ちゃんを、お母さんが胸に抱いてを過ごす幸せなひととき「カンガルーケア」。この「カンガルーケア」は、南米コロンビアで始まったとされていますが、赤ちゃんと母親の絆作りや、母乳育児にもメリットがあることが分り、日本でも取り入れる病院が増えています。
しかし、カンガルーケア中に、元気に生まれたはずの赤ちゃんの呼吸が停止するなど、容体が急変する事例が発生しており、日本周産期・新生児医学会などのアンケート調査によると、おととし1年間にケアの最中に容体が急変した赤ちゃんが、21人に上ることが分かったそうです。
(image by a4gpa’s photostream)
また、アンケートでカンガルーケアを実施していると回答した病院361施設のうち、マニュアルなどを設け、安全にケアを行う取り組みを行っている病院は、約100施設のみということも判明しました。
カンガルーケアは、母乳育児や愛情の確立にも、適切な環境で行えば、大きなメリットになりますが、赤ちゃんは、出生直後呼吸などが非常に不安定な状態なため、十分な観察の下で行われないと危険というデメリットもあります。
実際に起きたカンガルーケア中の事故は、ほとんどの場合、母子だけが病室に残され、医療スタッフが不在の時に発生し、安全管理が徹底された状況ではありませんでした。
このようなことから、日本産婦人科医会では、カンガルーケアは、安全指針を守れる施設のみが行うべきという考えを示し、さらに日本周産期・新生児医学会では、カンガルーケアの実施について、赤ちゃんにモニターを付けることや、母親にカンガルーケアを行う危険性について伝えるなどの注意点をまとめ、各医療機関に安全対策を徹底するとしています。
▼外部リンク
日本周産期・新生児医学会
http://www.jspnm.com/
日本産婦人科医会
http://www.jaog.or.jp/
日本産婦人科医会:出生直後におこなう出生直後におこなう
「カンガルーケア」について
http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/50_120118_1.pdf