脱法ドラッグと呼ばれ、違法でない、つまり法律に基づく取締りの対象になっていない薬物によって中毒症状を引き起こし、救急搬送される患者が相次ぎ、昨年より1月で2~3人、今年に入ってからは1月から3月までで28人と急増している。
脱法ドラッグは、麻薬を摂取した際と同じような幻覚症状や興奮作用がある物質で、「ハーブ」「アロマ」などと称して繁華街やインターネット上で販売されている。厚生労働省は、6月22日、店舗やネット販売されている脱法ドラッグ76製品の82%から薬事法の対象となる指定薬物の成分を検出したと発表し、回収や販売中止を指導したが、現行の法律では販売や使用の全てを規制することはできておらず、服用者が後を絶たない状態だ。
脱法ドラッグの含有物質には、大麻や覚せい剤に含まれているようなカンナビノイド系、アンフェタミン系、トリプタミン系、フェネチルアミン系などの成分があり、中毒患者の症状は、口渇感、痙攣、胸腹痛、交感神経亢進など様々であり、複数の成分を混ぜたものもあることから、治療を困難にしているケースもある。
また、このような脱法ドラッグは救急医療で使われている「トライエージDOA」という違法薬物の検出を行う簡易検査キットを使っても、検出されないケースも多いという。
対応として、一般の医師が脱法ドラッグの中毒症状が疑われる患者を診察する際、麻薬や大麻、あへんなどの慢性薬物中毒であることがはっきりしている場合は、都道府県への通報義務が生じるが、それ以外では通報義務がない。
こういった患者は、ほとんどの場合、入院の必要がなく、細胞外液を1~2L点滴し、必要に応じてジアゼパムやプロポフォールなどで鎮静するなどの処置を行うが、一方で通常のサプリメントのように服用した消費者が重症や死亡する例も出ていることから、国も事態を重く見ている。
厚労省はこのような脱法ドラッグに対し、改正薬事法で指定薬物制度を導入。今年7月1日にもカンナビノイド系、アンフェタミン系など9種類の物質を指定薬物に追加し、77種類を規制する。現行では製造・販売・輸入すると、罰則が科されることになっている。
通報が医師の裁量に任されていることから、医療現場による報告が新しい脱法ドラッグの規制に繋がる可能性も高い。
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