日本国内には存在しない病気を、海外に渡航や滞在した人が感染し、国内に持ち込んでしまうことがありますが、厚生労働省では、感染症の発生や流行を探知し、まん延を防ぐための対策を取るためにも、患者が発生した場合は、直ちに届け出を行うようにとしています。
このような日本には存在しない伝染病を、旅行者などが国内の持ち込むことを「輸入感染症」とも言いますが、デング熱、チクングンヤ熱、コクシジオイデス症、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス、ヒストプラスマ症、ブルセラ症、マラリア、ラッサ熱などがあります。
(image by tataquax’s photostream)
デング熱、チクングンヤ熱ともに、蚊によって媒介されるウイルスが原因で、感染してしまいますが、WHOが今年1月に発表したところによると、デング熱発生がここ数十年世界中で劇的に増加しており、世界人口の40%以上にデングのリスクがあるとしています。
また、東南アジアと西太平洋地域で最も深刻な影響が広がっており、今後、爆発的な流行が起こる可能性があるともしています。
国立感染症研究所は、「デング熱輸入症例情報2012_ウィルス1部」を公表していますが、4月24日の時点で23症例が報告されており、患者は、インドネシア、タイ、東チモールへなどへ渡航していました。
また、3月にはパラグアイで、6月には、エクアドルでもデング熱患者の増加が報告されています。
「チクングンヤ熱」に関しては、2005年~2006年にインド、スリランカで170万人以上が感染、2007年には北イタリアで流行し、後2009年にインド、マレーシア、タイ、シンガポールなどで流行ました。
「チクングンヤ熱」の場合、「ネッタイシマカ」「ヒトスジシマカ」が媒体するウィルス感染症で、この「ヒトスジシマカ」は、日本の青森県以南の都市部、田園地帯に生息しているヤブカ「ヒトスジシマカ」と同じ系統と考えられています。
フランスでは、一人の旅行者から、300人の流行が始まったことから、日本でも同様のことが起る可能性が高いため、国立感染症研究所では、「チクングンヤ熱媒体蚊対策に関するガイドライン」を作成し、注意を促しています。
▼外部リンク
厚生労働省 感染症法に基づく医師の届出のお願い
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/
厚生労働省検疫所:デングと重症デング
http://www.forth.go.jp/moreinfo/
チクングンヤ熱媒体蚊対策に関するガイドライン
http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/Aiphavirus/
国立感染研究所感染症情報センター デング熱
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_50/k04_50.html
国立感染研究所感染症情報センター チクングンヤ熱
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k07/k07_19/k07_19.html