熱帯地方にみられる病気を熱帯病というが、アステラス製薬はDrug for Neglected Diseases initiative(DNDi)と、リーシュマニア症、シャーガス病、アフリカ睡眠病、という熱帯病に関し、共同研究を行うことを発表した。
貧困地域の人々に感染する熱帯病は「顧みられない熱帯病」と呼ばれ、WHOによれば、10億人以上ないしは世界の人口の6分の1の人々が17種のNTDsの1種以上に罹患しているとされている。共同開発により新しい抗寄生虫薬の開発が進むことが期待される。
リーシュマニア症は98カ国で発症が認められている。サシチョウバエが媒介するリーシュマニア原虫という寄生虫が原因である。現在ある治療法は、薬剤投与の困難さや毒性、コスト面の問題などが存在する。
シャーガス病 (アメリカトリパノソーマ症)は、クルーズトリパノソーマによる感染症で,サシガメ類昆虫の刺咬により伝播するラテンアメリカ地域21カ国でみられる風土病である。本来発症がみられなかったアメリカ合衆国やオーストラリア、ヨーロッパの一部の国々における患者数が増加しているのが特徴である。現在ある治療法は安全性に重大な問題があり、感染が長引くほど有効性が低下する。
アフリカ睡眠病 (ヒトアフリカトリパノソーマ症またはHAT)は、ツェツェバエが媒介する寄生性原虫トリパノソーマによって引き起こされるサハラ砂漠以南の国々における風土病である。初期段階で発熱や頭痛といった風邪の症状に近い症状が発現し、 病原虫が体内に広がっていくうちに、リンパ節が大きく腫れ上がる。さらに進行すれば精神的衰弱が引きこされ、睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり、6カ月から3年の間に高頻度で死に至る可能性がある。現在ある治療法には毒性や薬剤投与の困難さ、重大な副作用などの問題がある。
▼外部リンク
アステラス ニュースリリース 2012年6月12日
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/dndi.html