佐賀大学、九州大学、岐阜薬科大学の研究グループは、アトピー性皮膚炎を慢性化させる原因となるタンパク質を発見したと発表しました。
アトピー性皮膚炎は、一度発症すると何年も症状が続くことが多いのですが、その原因は今まで解明されていませんでした。
研究グループが発見したのは、アトピー性皮膚炎の慢性化の原因となっているのは、「ペリオスチン」というタンパク質。
アトピー性皮膚炎患者では、インターロイキン4や13という炎症性メディエーターの刺激で、「ペリオスチン」が大量に産生されて皮膚組織に沈着。沈着した「ペリオスチン」は表皮細胞を刺激して、炎症を引き起こす別のメディエーターを産生するため、さらに炎症が継続し、慢性化してしまう原因となっているわけです。
写真はイメージです
この「ペリオスチン」は、「インテグリン」という、細胞表面に存在するタンパク質に結合して、炎症を引き起こすメディエーターを、細胞に作らせるように指示をしています。
そのため、研究グループでは、マウスを使った実験で「ペリオスチン」を遺伝的に欠損させるか、「ペリオスチン」との結合を阻害する「インテグリン」に対する抗体を投与したところ、アトピー性皮膚炎が起きなくなることを突き止めました。
アトピー性皮膚炎の治療薬としては、ステロイド剤や免疫抑制剤などが使われていますが、副作用もあることから、新薬の開発が望まれています。
この研究成果は、2012年6月11日付の医学誌ジャーナルオブクリニカルインベステイゲーション電子版に発表されています。
▼外部リンク
ジャーナルオブクリニカルインベステイゲーション電子版
http://www.jci.org/articles/view/58978
佐賀大学医学部分子生命科学講座
http://www.biomol.med.saga-u.ac.jp/medbiochem/AD-PN.html