他の神経変性疾患においても応用が期待される
自治医科大学と、名古屋大大学院医学系研究科の祖父江元教授や大学院生の宮崎雄医師らのグループらの研究グループは、全身の筋力低下を主症状とする球脊髄性筋萎縮症の治療法として、マイクロRNAとよばれる微小なリボ核酸と、アデノ随伴ウイルスベクターを使用した遺伝子治療法を開発し、2012年6月3日、「Nature Medicine誌オンライン版」に発表しました。
この治療法は、アルツハイマー病やパーキンソン病など、球脊髄性筋萎縮症と同じように、神経細胞に有害なタンパク質をため込んで引き起こされる病気の治療にも応用が期待できるそうです。
有害なタンパク質の発現を抑制するマイクロRNAを特定
研究グループは、神経細胞に有害なタンパク質の合成を促すCELF2というタンパク質を発見し、さらに、CELF2の発現を抑制するマイクロRNAを特定しました。
マウスでの実験で、球脊髄性筋萎縮症を再現したマウスに、このマイクロRNAを大量に投与したところ、有害なタンパク質は減少し、また、人間から採取した皮膚細胞に投与したところ、同じく減少が見られたそうです。
研究グループでは、
疾患の原因となる異常な遺伝子から転写される異常メッセンジャーRNAをマイクロRNAによって制御する方法論は、「脊髄小脳変性症」を初めとするほかの神経変性疾患においても応用が期待される。これらの神経変性疾患に多くの患者や家族が直面している問題を鑑み、早急な臨床応用へ向けた努力を続けたい
と、語っているそうです。
▼外部リンク
マイナビニュース
http://news.mynavi.jp/news/2012/06/05/008/
Nature Medicine誌
http://www.nature.com/nm/
自治医科大学
http://www.jichi.ac.jp/news/research/2012/20120605.html
名古屋大大学院医学系研究科
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/index.html