ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された研究によると、一般的に使用されている抗生物質、アジスロマイシンは、特に心臓疾患を持つ人や心臓病を発症する危険性のある人が使用すると、突然死に至る可能性を引き上げる恐れがあることがわかった。
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研究者によれは、突然死に至る可能性は高いものではないが、心臓病を持つ患者などが抗生物質を必要とする場合はアモキシシリンなどの違う薬を処方するなど、配慮するには十分な数値をさしているということだ。
これには心臓疾患、糖尿病、心臓発作、あるいは心臓バイパス、血管移植などの手術を受けたことのある患者なども含まれる。これらの患者にとって、アジスロマイシンは心拍数を異常にする原因となり、死につながる可能性があり、このとはあまり知られていないということだ。
米・ヴァンダービルト大学の予防医学科、ウェイン・A ・レイ教授と彼のチームは、1992年から2006年まで、米国テネシー州の30~74歳の患者54万人の医療記録を分析した。その中、研究者たちは抗生物質投与患者と非投与患者の循環器系障害による死亡に関して注目した。
アジスロマイシンを処方された患者が100万人と試算すると、突然死に至った人は46,4人に上り、他(アモキシシリン対する試算では21,8人、非投与患者では24人)と比べてずば抜けている。
その他、レボフロキサシンの死亡率はアジスロマイシンと同じで、シプロフロキサシンより高い。
アジスロマイシンは気管支炎や肺炎、喉や耳の痛みなど、バクテリア感染症の治療に用いられる。またこの薬は、5日間使用される”Z-パック”として有名で、価格も手ごろだ。
多くの抗生物質は10日以上は摂取される。メディカルヘルスケア業界へのコンサルティング会社、IMS Healthによると、去年アメリカでは5530万ものアジスロマイシンが処方され、4億6千万ドル以上の売り上げがあった。世界的な売り上げは18億ドルに上る。
エリスロマイシン、クラリスロマイシンの2つは、突然死を引き起こす危険性があるとしてすでに知られている。しかしアジスロマイシンは安全であると考えられていた。
ジョーンズ・ホプキンズ薬科大学の教授で、IDSA(Infectious Diseases Society of America)前社長のジョン.G.バートレット教授は、レイ教授の見解に賛成のようだ。
研究データは膨大な患者数から来ているため、この発見は生物学的に妥当であるとし、アジスロマイシンは心拍数を乱す可能性があることは納得できるとした。そのため、突然死を引き起こす危険性が高い患者には、違う薬を処方するべきであり、また代わりとなる薬はほかにもあるということだ。
また、バートレット教授は、風邪、その他抗生物質では治療できないウィルス性の感染症までに、抗生物質を多用しているという現状があり、この研究結果はそれを抑制するのにも役立つとした。抗生物質の乱用は危険な薬剤耐性ウィルスを生み出す原因にもなる。
同教授は以下のように述べている。
▼外部リンク
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)サイト
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1003833