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東洋医学会、英語情報提供サイトで医療用漢方製剤の海外発信をサポート

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2018年07月25日 PM02:00

国内の医療用漢方製剤の情報を集約

金沢医科大学腫瘍内科学主任教授の元雄良治氏は、6月の第69回日本東洋医学会学術総会で、日本の医療用漢方エキス製剤の臨床研究成果を英語論文で発表するために、日本東洋医学会EBM委員会が中心に作成した医療用漢方製剤の英語情報提供サイト「:Standards Of Reporting Kampo products」を紹介した。


「STORK」トップページ

元雄氏は、「国内の医療用漢方製剤の情報が1か所のWebサイトの引用で示すことができる。論文執筆者は表記が統一され、余分な情報の記載が必要なくなることで紙面の節約にもつながる。海外の査読者などは日本の漢方製剤の情報にアクセスできるようになる」と、これを活用した漢方エビデンスの発信に期待を示した。

漢方薬の名称については2006年の日本薬局方の第十五改正に合わせ、厚生労働科学研究班内の分担研究で、統一したローマ字表記法が2005年に定められた。元雄氏はPubMed検索で抽出される漢方製剤の英語論文での、このローマ字表記法の採用状況について、1983~2005年まではわずか6.5%だったものの、2006~2015年には75.9%まで浸透してきていることを紹介。「逆に言えばまだローマ字表記を利用していないケースが一定程度ある」との懸念を示した。

製剤名が理解できず、海外の査読者から論文を却下されるケースも

元雄氏はまた、漢方製剤の英語論文執筆について、「英語で漢方薬に関する論文を投稿しても海外の査読者は漢方製剤のことを知らず、西洋医学的にしか理解しないか理解できないために却下することもある」と指摘。こうしたことを回避するため、製剤の構成生薬に関する詳細な説明や高速液体クロマトグラフィーによる有効成分の含有量の図示などに論文の多くのスペースを割かなければならなかった過去の経験を振り返った。

漢方エキス製剤の英語論文で、用いた漢方製剤を簡潔かつ完全に引用できることが求められ、2011年に日本東洋医学会EBM委員会がKCONSORT (Kampo Consolidated Standards of Reporting Trials)を作成。これは無作為化比較試験の質向上のために試験結果報告時に含まれるべき情報のチェックリストとして国際的に使用されているCONSORT声明の漢方版だ。

ただ、元雄氏はKCONSORTがCONSORT声明で示されているチェックリスト25項目のうちIntervention(介入)の1項目しか扱っていないことなどから、2017年5月に正式名称を「Standards of Reporting Kampo Products」、略称を「STORK」と改称することとなったと説明した。

現在、STORKのWeb(http://mpdb.nibiohn.go.jp/stork)は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と国立医薬品食品衛生研究所が共同で運営をしている。同Webでは国内で販売されている医療用漢方エキス製剤148種類のローマ字表記名、漢字表記名、日本薬局方への採用有無とその品質規格、英文添付文書、製剤の製造企業と企業ごとの含有生薬量の一覧が参照可能となっている。

実際の英語論文でのSTORK活用法について、元雄氏は「例えば麦門冬湯では、bakumondoto, see http://mpdb.nibiohn.go.jp/stork といった記載をすればよい」と説明。ただ、製造企業により同一製剤でも含有生薬量などが異なることがあることから、「(STORKを利用した英語論文執筆時には)単に方剤名だけではなく、製造企業名も記載してほしい」(元雄氏)と呼び掛けた。

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