■薬剤経済学的手法で解析‐協和病院、東大ら共同研究
薬剤師が病棟薬剤業務を通じて主体的に関わり、統合失調症薬物治療において抗精神病薬の単剤化に導くことができれば、併用例と比較し優れた費用対効果を得られることが、村田篤信氏(医療法人慧眞会協和病院薬剤科)、五十嵐中氏(東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学特任准教授)らの研究で明らかになった。同院の実例をもとに、抗精神病薬の単剤化症例は併用例に比べ、薬剤費が低額になるだけでなくQOL値が向上することを解明。病棟薬剤業務の費用も試算し、これらの数値から推計した。薬剤経済学的手法を取り入れて薬剤師業務の有用性を評価する研究の先駆けとしても、意義の大きい研究といえそうだ。
2015年4月から16年12月に協和病院に入院し、抗精神病薬が処方された統合失調症患者60人を対象に解析を実施。薬剤調整を行い患者状態が安定した時、または退院時にQOLを評価した。EQ-5Dに基づき、[1]移動の程度[2]身の回りの管理[3]普段の活動[4]痛みや不快感[5]不安やふさぎ込み――の5項目を3段階で評価し、QOLを数値に換算した。