抗体医薬品向け糖鎖解析サービス実用化の検討を開始
三菱化学メディエンス株式会社は9月17日、独立行政法人理化学研究所と株式会社島津製作所が共同開発した、新規の糖鎖解析技術であるErexim法に関し、その糖鎖解析サービス分野における独占的ライセンス契約を締結したと発表した。
三菱化学メディエンスでは、この契約に基づき、同社の主力事業の一つである創薬支援事業の新たなサービスとして、Erexim法を活かした、抗体医薬品の製剤開発および品質管理ツールとなる糖鎖解析サービスの実用化を目指し、検討を開始するという。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
抗体医薬品に不可避な不均一性の問題に対応
理化学研究所と島津製作所が共同開発したErexim法は、現在特許出願中の新規分析技術で、トリプル四重極型質量分析計により、高速かつ簡単に各種タンパク質医薬品の糖鎖構造を精密にチェックすることができるという。
トリプル四重極型質量分析は、複雑なマトリックス中の微量分析においてなくてはならないものであり、高速・高分離化を実現するための技術開発が積極的に進められている。
抗体医薬品は、比較的治療効果が高く副作用が少ないことがメリットとして挙げられる。その一方で、細胞培養工学的手法によって作られるものであるため、不均一性が不可避であることや、抗体分子に樹状構造で結合している糖鎖には、多様な種類と構造があり、それらが抗体依存性細胞障害活性をはじめとする薬効や、薬剤自体によるアナフィラキシーにも深く関与しているといった特徴も持っている。
そのため抗体医薬品の製剤開発や、実際の製造時における品質管理においては、糖鎖構造を定量的に把握することが求められる。しかし、こうしたプロセスの複雑さが、薬剤を高額なものとしてしまうなどの課題も生んでおり、その解決には、高速かつ簡単に定量分析、評価を可能とする技術が欠かせない。
Erexim法は、その点で技術応用が注目されるものであり、抗体医薬品開発において糖鎖構造のロット間差の評価などで、国際的な品質評価の標準法となりうることも期待されているという。
三菱化学メディエンスでは、このErexim法による糖鎖解析サービスを、同社が高い評価を得ているバイオアナリシス分野の新たな創薬支援サービスとして位置づけ、実用性の検討を図っていくとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
三菱化学メディエンス株式会社 プレスリリース
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