長期予後に影響する未熟児動脈管開存症
千寿製薬株式会社は6月14日、2018年1月19日に厚生労働省より未熟児動脈管開存症治療剤として製造販売承認を取得した「イブリーフ(R)静注20mg」(一般名:イブプロフェンL-リシン)の販売を開始したと発表した。
未熟児動脈管開存症は、新生児において、肺動脈と大動脈をバイパスする血管の動脈管が自然閉塞せず、生後も開存している状態。開存が小さい場合には一般的に無症状であるものの、開存が大きく、さらに症状が悪化すると、頭蓋内出血、壊死性腸炎、肺出血や腎不全(乏尿)などの重大な合併症を併発し、慢性肺疾患や未熟児網膜症、低栄養など長期予後にも影響をもたらす可能性が示唆されている。
日本製薬に医薬情報活動を委託
イブプロフェンL-リシン静注製剤は、米国では2006年7月に未熟児動脈管開存症治療剤として発売されており、イブプロフェンL-リシンの活性体であるイブプロフェンフリー体の静注製剤も、EUで2004年9月に発売。2017年6月時点で両剤を合わせて47の国と地域で製造販売承認されている。
同剤の開発にあたっては、日本未熟児新生児学会(現:日本新生児成育医学会)が厚生労働省に未承認薬・適応外薬の要望書を提出し、開発支援品目として選定された後、開発企業が公募された。これに対し、千寿製薬は開発を受諾し、未承認薬等開発支援センターの助成金を活用して国内での開発を進めてきた。
なお、同剤は、日本製薬株式会社に医薬情報活動を委託しており、すでに医療関係者への情報提供を開始している。
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