琉球大学を最優先とした県内の国公立大学への薬学部創設を訴えてきた沖縄県薬剤師会(亀谷浩昌会長)は13日、県医師会、県歯科医師会、県看護協会との4者連名で行っていた署名活動で、10万1660筆の署名が集まったことを受け、薬学部新設を求める要望書と署名を琉球大学の大城肇学長に提出した。大城学長は、10万筆を超える署名について、「重く受け止めている」と語った。
亀谷氏は、当初目標としていた「5万筆をはるかに超える」数の署名が集まったことを強調。「薬学部創設に対する県民の強い要望の現れだと確信している」とし、琉球大への薬学部創設を「強く要請する」と語った。
琉球大医学部と同附属病院の西普天間住宅地区跡地への移転に伴う基本計画の中に、「沖縄の天然資源利用による創薬研究」が盛り込まれていることに触れ、「琉球大に薬学部が創設されれば、医と薬の協働により、効率的な研究体制が構築できる」とのメリットも示した。
国が進める「地域包括ケアシステム」においても、薬物療法を支える薬剤師の役割に期待が寄せられているが、沖縄は人口10万人当たりの薬剤師数が全国の都道府県の中で最も少なく、薬剤師の確保に力を入れているものの、現状では県外の薬学系大学を卒業すると、そのまま県外で就職するケースが多い点も指摘。
県内に私学ではなく、国公立大学の薬学部を創設することにより、「学生や親の負担軽減につながるだけでなく、県外から優秀な頭脳が集まる」とし、琉球大を最優先とした薬学部創設を求めた。
これに対し、大城氏は「県内医療職種の尽力によって、多くの署名が集まったことに敬意を表したい」としつつも、文部科学省は新たに学部を創設する際には、他の学部を一つ廃止する「スクラップアンドビルド」が必要になるとの認識を示しており、「まだまだハードルが高い」との認識も示した。
ただ、「多くの県民の要望がある」ともし、「学内で検討していきたい」と語った。