研究期間は、2018~2022年度の5年間を予定
慶應義塾大学は5月30日、3アカデミア・3製薬企業による「免疫炎症性難病創薬コンソーシアム」を設立し、共同研究をスタートさせたことを発表した。この研究は、同大医学部内科学(リウマチ・膠原病)教室の竹内勤教授、内科学(消化器)教室の金井隆典教授らと、高知大学医学部附属病院免疫難病センターの仲哲治教授、医薬基盤・健康・栄養研究所トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクトの山田弘プロジェクトリーダーおよび小野薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社、第一三共株式会社によるもの。
画像はリリースより
参加機関は、2018年3月20日現在で、同コンソーシアム構想時点で参加意思を表明した上記6機関。各機関のメンバーで構成される運営委員会がコンソーシアムの運営・管理を行っていく。今後新たにコンソーシアムへの参加希望がある場合は、規約に従い運営委員会で随時検討される。研究期間は、2018年度~2022年度の、5年間を予定している。
免疫炎症性難病医療のレベル向上を目指す
同コンソーシアムは、複数アカデミアと複数製薬企業が参加する新しい形の協業の場。関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの免疫炎症性難病を対象とし、質の高い臨床データを基盤とした詳細な遺伝子発現解析等を行うことにより、免疫炎症性難病に苦しむ患者のための新しい治療法・診断法の開発につなげることを目的として設立された。
慶應義塾大学医学部・病院は、免疫炎症性難病に対して培ってきた知識を基に検体に質の高い臨床情報を付し、さらに細胞サブセット別に重層的オミックス解析を行うことで、これまでにはない高品質なデータセットを取得することができる。臨床検体は、同大学病院と、高知大学医学部が共同で治療介入前後の定点で収集。高知大がコンソーシアムに参加することで、臨床検体の多様化の実現が望まれる。また、医薬最先端の創薬研究支援体制が整っている基盤・健康・栄養研究所では、コンソーシアムによる共同研究において検体組織から得られた大規模データの解析を行う。同時に、コンソーシアムを通じた人材交流により、若手の育成および免疫炎症性難病医療における診断・治療などの標準化、さらにレベル向上の促進が期待されている。
複数アカデミアが検体収集および解析を行い、データ取得までは複数製薬企業が協力して資金を提供、得られたデータをコンソーシアム参加機関で共有する。そしてこの共有データをもとに製薬企業各社は競争的に創薬研究を行い、アカデミア機関は研究成果をさらなる基礎・応用研究に役立てるという、これまでにないユニークな産学連携のコンソーシアムとなる。
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