同種造血幹細胞移植患者のCMV感染症発症を抑制
MSD株式会社は5月28日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「プレバイミス(R)錠240mg」および「プレバイミス(R)点滴静注240mg」(一般名:レテルモビル)の発売を発表した。
画像はリリースより
同剤は、同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の効能・効果で製造販売承認を取得。同剤の新規の作用機序と有効性が認められ、薬価に画期性加算と市場性加算が適用された。画期性加算は1992年に薬価算定ルールに導入されたが、過去に適用された新医薬品は4製品のみで、今回の同剤への適用は3年ぶり5製品目となる。
サイトメガロウイルス(CMV)は、幼少期に感染し、不顕性感染の形で、宿主に生涯潜伏し続けることが一般的。しかし、免疫抑制状態下ではCMVが再活性化し、腸炎、肺炎、網膜炎などの重篤なCMV感染症を引き起こして、死に至るケースもある。特に、同種造血幹細胞移植患者は免疫力が著しく低下しており、CMV再活性化が高頻度にみとめられ、死亡率をはじめ、移植の予後に影響を与えると報告されている。
CMV感染が確認される前に予防的に投与
プレバイミスは、世界初のCMVターミナーゼ阻害剤。ヒトには存在しないCMVのDNAターミナーゼ複合体を阻害することで、ウイルスの増殖を抑制する。第3相国際共同試験は、日本人を含むCMV抗体陽性の成人同種造血幹細胞移植患者(無作為化された患者570例、うち日本人患者36例)を対象に、CMV感染症の発症抑制効果および安全性を検討することを目的として実施された。その結果、プレバイミス群とプラセボ群の対比較において、同剤は主要評価項目である移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染が認められた患者の割合を、統計学的に有意に低下させた。
日本において成人同種造血幹細胞移植は、年間約3,300件が実施されている。現在のCMV感染症の対策は、CMV感染が確認された時点で抗ウイルス薬の投与を開始する先制治療が中心となるが、同剤はCMVの感染が確認される前に予防的に投与される。同剤使用による同種造血幹細胞移植の成功と予後の改善に期待が寄せられる。
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