全生存期間の統計学的に有意な延長認められず
富士フイルム株式会社は5月17日、前立腺がん患者を対象とするテーラーメイド型がんペプチドワクチン「ITK-1」の国内臨床第3相試験について、主要評価項目の全生存期間で統計学的に有意な延長が認められなかったことを発表した。
前立腺がんは、その多くが男性ホルモンのアンドロゲンに依存して増殖することから、アンドロゲンを除去する内分泌療法や除睾手術が有効だ。しかし、半数以上が5年以内に再発再燃し、「去勢抵抗性前立腺がん」となる。去勢抵抗性前立腺がんに対しては、化学療法剤が用いられており、去勢抵抗性前立腺がんに対して適応を取得した化学療法剤ドセタキセルが広く使われている。しかし、一定の延命効果は期待されるものの、治療効果が一次的にとどまり、最終的には治療効果がなくなる。この状態を「去勢抵抗性ドセタキセル治療抵抗性前立腺がん」という。
HLA-A24陽性去勢抵抗性ドセタキセル治療抵抗性前立腺がんを対象に
今回の試験は、HLA-A24陽性の去勢抵抗性ドセタキセル治療抵抗性前立腺がんの患者を対象に、プラセボを比較対照群として、ITK-1投与群の有効性と安全性を評価したもの。HLAは細胞にあるヒト白血球抗原の型であり、日本人の約60%がHLA-A24の型だといわれている。
今回の試験の結果、全般的な同剤の副作用に関しては、安全で十分な忍容性を示したという。さらに詳細な試験データは、解析中としている。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース