治療抵抗性潰瘍性大腸炎に高い効果を示す長鎖ポリリン酸
旭川医科大学は5月16日、サッポロホールディングス株式会社が保有する、腸管バリア機能の増強を特徴とした炎症性腸疾患に対する治療薬候補物質(長鎖ポリリン酸)における特許をもとに、カムイファーマ株式会社を設立したと発表した。
画像はリリースより
カムイファーマは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患等に対する新薬の開発を行い、未だ満足な治療法がないアンメットメディカルニーズの高い疾患の治療に貢献することを目指す同大発ベンチャー。同大内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野の藤谷幹浩准教授、サッポロホールディングスとの共同研究により、人体に有益な微生物プロバイオティクスであるSBL88TM乳酸菌から抽出された長鎖ポリリン酸が腸管上皮のバリア機能を増強し、治療抵抗性潰瘍性大腸炎に高い改善率を示すことを明らかにしている。カムイファーマは、これら研究成果の社会実装を目的に、同大准教授2名により4月2日に設立された。
研究開発を進め、炎症性腸疾患の新薬開発を目指す
旭川医大とサッポロホールディングスはカムイファーマの株式を保有。さらに、カムイファーマのシリーズAラウンドにおける第三者割当増資として、三菱UFJキャピタル株式会社が運用するファンド、および旭川信用金庫などが出資した北海道ベンチャーキャピタル株式会社が運用するファンドが研究開発資金として総額2.25億円を出資した。カムイファーマは今回の出資金を活用して、長鎖ポリリン酸の研究開発に取り組むとともに、適応症拡大、次なるシーズの探索および新薬開発を行い、それを担う人材も補強する予定。
藤谷准教授は「炎症性腸疾患の患者は20歳前後の若年で発症し、生涯にわたり腹痛・下痢・血便に悩まされるため、就学・就労、結婚、出産や育児といったさまざまなライフイベントに大きな影響を及ぼしてしまう。炎症性腸疾患が難治化するのは、腸粘膜バリア機能の持続的障害に起因する、病原菌や有害物質の腸壁への侵入が大きな要因と考えられている。我々は、基礎・臨床研究で証明してきた長鎖ポリリン酸のバリア機能改善効果と高い安全性を次相の臨床試験で再現し、一刻も早く患者のもとへ届けたい」と述べている。
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