JAK1を選択的に阻害する開発中の経口薬
アッヴィ合同会社は5月9日、開発中のウパダシチニブにおいて、進行中の第2b相/第3相SELECT-SUNRISE試験の結果を発表した。同試験において、同剤のすべての用量群で、主要評価項目のACR20を12週時点で達成、1週時点での早期プラセボ比較で、ACR20達成割合における有意差を確認した。これらのデータは、2018年日本リウマチ学会(JCR)学術集会の口頭プレゼンテーションで発表された。
ウパダシチニブは、免疫関連疾患の病態生理に重要な役割を果たすJAK1を選択的に阻害する経口薬。現在、関節リウマチ、関節症性乾癬、クローン病を対象とした第3相試験が進行中であり、さらに、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、巨細胞性動脈炎の治療薬としての開発も進められている。なお、同剤は開発中の経口薬であり、規制当局の承認を取得しておらず、安全性および有効性は確立されていない。
csDMARDで十分な効果が得られなかった患者が対象
今回の試験は日本で実施されたもの。一定用量の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)を服用し、十分な効果が得られなかった中等度から重度の関節リウマチの日本人成人患者を対象に、開発中のウパダシチニブを評価した。同試験は、日本人患者の用量範囲を確認することを目的とした試験で、同剤について4,000名以上の中等度から重度の関節リウマチ患者を評価する、アッヴィの大規模グローバルSELECT臨床試験プログラムの一部。
12週時点の結果から、ACR20を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ7.5/15/30mgを1日1回経口投与した患者でそれぞれ76/84/80%、プラセボ投与の患者では43%だった(p<0.001)。ウパダシチニブ群では、プラセボ群と比較して有意に多くの患者が1週間での早期にACR20を達成(ウパダシチニブ7.5/15/30mg群でそれぞれ31/25/34%、プラセボ群で8%、p<0.01/0.05/0.01)。また、ウパダシチニブ群では、プラセボ群と比較して多くの患者が有意にACR50およびACR70を達成したという。ACR50を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ7.5/15/30mgを投与した患者でそれぞれ41/65/58%、プラセボ投与の患者で16%(p<0.01/0.001/0.001)、ACR70を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ群でそれぞれ20/35/28%、プラセボ群で2%(p<0.01/0.001/0.001)。なお、同剤の安全性プロファイルは、これまでに報告された結果と一致し、新たな安全性シグナルは検出されなかったという。
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・アッヴィ合同会社 プレスリリース