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3Dプリンターで強度と骨置換性を持つ人工骨造形を可能にする手法を開発-理研ら

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2018年04月18日 PM12:45

注目を集める「3Dプリンター」を使った人工骨造形

理化学研究所は4月14日、患者の骨の内部を含む欠損部位の形状を再現した人工骨を3Dプリンター技術により製造する手法を開発したと発表した。この研究は、理研光量子工学研究センター画像情報処理研究チームの大山慎太郎客員研究員、辻村有紀テクニカルスタッフⅠ、横田秀夫チームリーダー、技術基盤支援チームの山澤建二副チームリーダー、株式会社リコーの渡邉政樹スペシャリストの共同研究グループによるもの。研究成果は、米国・アトランタで開催された「Society For Biomaterials’2018 Annual Meeting」で発表されている。


画像はリリースより

整形外科手術や頭頚部手術などでは、欠損骨の治療をする際に人工骨が頻用されている。現在、ブロックや顆粒、セメントなどさまざまなタイプの人工骨が販売されているが、顆粒型は骨置換性に優れている反面、強度が低く、逆にセメントは骨置換性で劣るが、変形が自由で安定化後の強度が高いという特徴があり、疾患部位によって使い分ける必要がある。その一方で、近年では手関節や手指、足根骨部などの部位に使用できる精密な形状と高い強度を両立する3Dプリンターによる人工骨造形が注目を集めている。

α-リン酸三カルシウムなどを使った新しい3次元造形人工骨

これまで、3Dプリンターを用いて造形された医療デバイスの臨床応用例として、レーザーや電子ビームを用いたPBF(Powder Bed Fusion)方式で造形された人工関節や人工骨などがある。これらは長期にわたり構造材料としての力学的安全性を担保する必要があるため、主に純チタン(Ti)やTi-6Al-4V(Al:アルミニウム、V:バナジウム)などのチタン合金が用いられ、欧米では既に整形外科や口腔外科などの分野で実用化されている。しかし、これらの材料には骨置換性がなく、生涯にわたって体の中に残存するため、長期的な視点でみると、金属アレルギーなどの副作用が懸念されていた。

今回、同研究グループは、BJ(Binder Jetting)方式をベースに、α-リン酸三カルシウムの粉末に対してエチドロン酸などの新しい凝固インクを用いた粉末積層装置による、人工骨の3次元造形手法を開発した。同手法では、3Dプリント後すぐに使用でき、高強度で高い骨置換性を持つ3次元造形人工骨を造形できる。作製した人工骨の生体適合性を、培養環境下での培養細胞の増殖率と、動物への移植実験の組織観察で調べたところ、良好な細胞の増殖率に加え、速やかに本来の骨組織に入れ替わることを確認した。これは、骨が本来持つリモデリング機能を阻害しない、良好な人工骨であることを示している。

同手法について、研究グループは「患者一人ひとり異なる形状に合わせた複雑な形状の人工骨造形を可能とし、オーダーメード医療のための3Dプリンターとしての展開が期待できる」と述べている。

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