次世代型の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤
ヤンセンファーマ株式会社は3月28日、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤(一般名:アパルタミド)について、去勢抵抗性前立腺がんの適応取得を目的として、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表した。
非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の90%が最終的には骨転移を発現する。内分泌療法未治療の転移性前立腺がん、または転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の5年相対生存率は約30%とされており、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における転移の発現を遅延または予防することが重要だ。
アパルタミドは、研究段階にある次世代型の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤で、前立腺がん細胞のアンドロゲンシグナル経路を遮断する。アンドロゲンがアンドロゲン受容体(AR)に結合するのを阻害する、ARががん細胞核内に移行するのを止める、ARががん細胞のDNAに結合するのを阻害する、という3つの方法でがん細胞の増殖を阻害する。米国では2018年2月に非転移性去勢抵抗性前立腺がんで承認されている。
MFS中央値を2年以上延長
アパルタミドは、第3相臨床試験であるSPARTAN試験のデータから、アパルタミド群がプラセボ群と比較してハイリスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の転移または死亡のリスクを72%減少、無転移生存期間(MFS)中央値を2年以上延長したことが報告されている。
SPARTAN試験には、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者1,207名が参加し、北米、欧州、アジアパシフィックの26か国332施設で行われた。これらの患者は2:1の割合でアンドロゲン除去療法(ADT)とアパルタミドを投与する群(アパルタミド群)(n=806)、ADTとプラセボを投与する群(プラセボ群)(n=401)に無作為に割り付けられた。アパルタミド群はプラセボ群と比較して、転移または死亡のリスクが72%減少(HR = 0.28、95%CI:0.23~0.35、p<0.0001)。MFSの中央値は、アパルタミド群は40.5か月であったのに対して、プラセボ群では16.2か月。MFSに対する効果は、すべてのサブグループに一貫してみられたという。
なお、この結果は2018年2月に開催された全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU 2018)にて発表されており、その試験結果は「The New England Journal of Medicine」に掲載されている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース