国立がん研究センターは、消化器癌患者の血液を用いた遺伝子解析の有用性を検証する臨床研究を開始した。73種類の遺伝子変化を一度に測定できる高感度なアッセイを導入し、約2000人の患者を対象に遺伝子異常の有無を調べる。特定の遺伝子異常が発見された患者は、遺伝子異常に対応する新薬の臨床試験に参加できる可能性があるという。血液を用いた遺伝子解析の有用性を検証することで、将来的な個別化医療の実現を目指す。
臨床研究は、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan GI-SCREEN」の研究として実施するもの。消化器癌では、様々な遺伝子異常の発見が治療薬開発につながってきた。実際、抗EGFR抗体の大腸癌治療薬「セツキシマブ」「パニツムマブ」は、RAS遺伝子に異常があると効果が期待できないため、投与前にRAS遺伝子検査が行われている。これら遺伝子異常を解析するためには、これまで侵襲の大きい腫瘍組織の生検を行う必要があり、患者に負担がかかるだけでなく、複数箇所や繰り返し生検をして遺伝子を解析することは難しかった。