切除不能、再発または転移性NSCLCを対象に
独メルク社と米ファイザー社は2月15日、アベルマブ(製品名:バベンチオ)について、白金製剤を含む2剤併用療法後に進行が認められた切除不能、再発または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象として、同剤とドセタキセルとを比較した第3相試験「JAVELIN Lung 200」の結果を発表した。
アベルマブは、PD-L1を特異的に阻害するヒト型抗体。動物モデルでは、同剤により自然および獲得性の免疫作用の両者に活性化が認められている。また、同剤がPD-L1に結合することにより、抑制されていたT細胞を介した免疫反応による抗腫瘍作用の活性化が認められている。なお、薬理作用としてin vitroで抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を誘導することが確認されている。
2014年11月、メルクとファイザーは同剤を共同で製品化する戦略的提携の締結を発表。米国食品医薬品局(FDA)から転移性メルケル細胞がん(mMCC)の適応症で迅速承認を取得し、さらに、前治療歴を有する局所進行、もしくは転移性尿路上皮がんの適応症で追加承認を取得。続いて、欧州において、2017年後半にmMCCの適応で承認を得た。日本においては、製品名「バベンチオ(R)」として、2017年9月に製造販売承認を取得し、11月22日に発売。適応症は根治切除不能なメルケル細胞がん。
PD-L1陽性1%以上の患者群ではOS改善は示さず
JAVELIN Lung 200では、主要評価項目であるPD-L1陽性(1%以上)の腫瘍を有する患者群に対する全生存期間(OS)の改善は示さなかった(ハザード比:0.90 [96%信頼区間:0.72-1.12]、p値0.1627、片側)。これは、化学療法群(ドセタキセル群)の患者において、試験後の後治療に他の免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けた患者割合が、過去に実施された同様の患者群を対象とした試験と比べて高く、試験結果に影響を及ぼした可能性があるという。
しかし、PD-L1中等度陽性(50%以上、試験対象集団の約40%)およびPD-L1強陽性(80%以上、試験対象集団の約30%)の患者においては、アベルマブ投与群は化学療法群と比べOSの改善を認めた(それぞれ、ハザード比:0.67 [95%信頼区間:0.51-0.89]、p値0.0052、両側、およびハザード比:0.59 [95%信頼区間:0.42-0.83]、p値0.0022、両側)。同試験で得られた同剤の安全性プロファイルは、他のJAVELIN臨床開発試験で報告されたものと同様で、安全性に関する新たな知見は得られなかったという。
今回の試験において示された同剤の有効性ならびに安全性は、従来通りのものであった。両社は引き続き、広範囲にわたるアベルマブの試験プログラムを進行させて、さまざまな適応症の拡大を進めていきたいとしている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース