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国立循環器病研究センター 糖尿病患者の約半数が血糖管理目標に達していない状況を明らかに

読了時間:約 1分18秒
2013年09月10日 PM03:49

糖尿病実態アンケートを実施

国立循環器病研究センターの研究グループは、糖尿病の地域医療の現状を把握するため、2011年12月から2012年2月まで吹田市、豊中市など4市の調剤薬局約350で、糖尿病薬の処方箋を持参した約1,000人の患者を対象に糖尿病実態アンケートを実施したと発表した。

(画像はプレスリリースより)

糖尿病は、心筋梗塞や脳卒中、人工透析などのハイリスクグループのため、これらの合併症を予防することが重要になる。糖尿病人口は増加傾向で1,000万人以上(2011年)と推定されるが、継続的に治療を受けている患者は全体の約6割。また、通院していても目標値に沿った血糖管理をしないと、合併症は十分に予防できない。

調査の結果からわかった今後の課題

アンケートの回答者は1,026人で、年齢は14歳から96歳までの平均67歳。性別の割合は、男性63%、女性37%。糖尿病通院歴は、数カ月から49年まで平均10年間だった。

日本糖尿病学会は、合併症予防の為に血糖管理指標であるHbA1c(NGSP)の目標値を7%未満に設定している。しかし今回の調査では、平均値が7.2%で、約半数が血糖管理目標値に達していなかった。特に50代後半から60代は血糖管理の状況が悪かったという。

また、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症は日本の失明原因の第1位だが、自覚症状が現れにくく、早期発見には定期的な眼科健診が重要となる。しかし、調査の結果では4割以上が眼科を定期受診していなかったという。このことから、動脈硬化、腎臓病など他の合併症への意識も低いと考えられる。

さらに、8割以上が糖尿病連携手帳を所持していなかった。この手帳はHbA1c値に注意を払い、合併症のチェックを定期的に受けるために役立つが、大部分の患者に活用されていないことがわかったという。

今後は、自己管理に有用な糖尿病連携手帳の普及を推進し、かかりつけ医、眼科、歯科、薬局などの地域における連携で診療していく必要性が明らかになったとしている。(馬野鈴草)

▼外部リンク

国立循環器病研究センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/

 

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