T790M耐性変異も阻害する第3世代のEGFR-TKI
アストラゼネカ株式会社は2月5日、第3世代不可逆的上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の「タグリッソ」(一般名:オシメルチニブ)が、厚生労働省より優先審査品目に指定されたことを発表した。
タグリッソは第3世代不可逆的EGFR阻害剤。EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異を阻害するように設計され、中枢神経系(CNS)転移に対する臨床活性も有している。タグリッソ40mg錠および80mg錠1日1回経口投与は、EGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、米国、EU、中国を含む50か国以上で承認されている。
国内においては、2016月3月に「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の適応で承認。その後、2017年11月に「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、T790M変異の有無に関わらず、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療への適応拡大に向けた製造販売承認事項一部変更承認を申請していた。
既存の標準1次治療群と比較して優れた客観的奏効率を確認
今回の指定は、過去治療歴のない局所進行あるいは転移を有するEGFRm NSCLC患者の1次治療におけるタグリッソの有効性と安全性を検討した第3相FLAURA試験の結果に基づくもの。同試験は30か国556例の患者を対象に行われた二重盲検無作為化試験。タグリッソ80mg 1日1回投与の有効性および安全性を、標準的な1次治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤 であるエルロチニブ(150mg 1日1回経口投与)あるいはゲフィチニブ(250mg 1日1回経口投与)と比較検討した。
同試験において、タグリッソ投与群は、エルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、無増悪生存期間(PFS)を延長(18.9か月対10.2か月)。また、これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められたという。さらにタグリッソ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値(17.2か月対8.5か月)を示し、優れた客観的奏効率を示した。また、過去に得られている安全性プロファイルと一貫した良好な忍容性を示したという。
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