アステラス製薬は、1月31日に開催した取締役会で、4月1日付で安川健司代表取締役副社長を社長CEOに昇格する人事を決定した。畑中好彦社長CEOは、代表権のある会長職に就任する。新たな経営体制で来年度からスタートする中期経営計画に対応する。安川氏は同日、都内で会見し、「2019年以降に主力品が特許切れする時期に入るが、それを乗り越え、中長期的な持続的な成長につなげる事業基盤の構築が私に課せられた経営の最重要課題」と抱負を述べた。
畑中氏は、安川氏をトップに据えた理由については、「過活動膀胱治療剤のベシケアやベタニスの開発プロジェクトリーダーや泌尿器領域の責任者、その後製品戦略部長をはじめとする幅広い職務経験を通じて、アステラス全体を俯瞰して判断できる広い視野を持っている」と説明した。
安川氏は、創薬研究の方向性に関し、「シーズ段階から治験開始まで圧倒的に短縮してきたが、プロジェクトマネジメントに改善の余地がある」との認識を示し、最速上市に向けて米国での画期的新薬指定の取得にも意欲を示した。国内では薬価制度の抜本改革が始まるが、国内売上比率が3割と低く、「全世界でビジネスができる体制は既に整えている。薬価制度改革の影響は限定的であり、もはや価値のある薬剤を創出することが大事」と述べた。
安川氏は1960年6月生まれの57歳。東京大学大学院農学系研究科修了後、86年4月に旧山之内製薬に入社、2005年4月に開発本部泌尿器領域プロジェクト推進グループ部長、10年6月に執行役員開発本部長付アステラスファーマグローバルディベロップメントの泌尿器領域でグローバル統括職を経て、11年4月に執行役員製品戦略部長、その後上席執行役員として経営戦略・販売を統括し、17年6月に現職に就任。01年7月に昭和大学薬学部で博士号を取得している。