視力改善治療薬ルセンティスに効能追加
ノバルティス ファーマ株式会社は8月20日、「ルセンティス(R)硝子体内注射液2.3mg/0.23mL」(一般名:ラニビズマブ(遺伝子組換え))について、「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」と「病的近視における脈絡膜新生血管」の2つの適応症の承認を新たに取得したと発表した。ルセンティスは、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症の視力を改善する治療薬。
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網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫
RVOは網膜の静脈が血栓で詰まって網膜内に血液成分が漏れ出し、浮腫や出血が起こり視力が突然低下する疾患。血管の透過性を亢進するタンパク質VEGFの関与が原因とされる。眼底中心部の黄斑部に浮腫が形成すると視力が低下、視力喪失に至ることもある。治療薬がなく、レーザー光凝固や手術の効力は不十分だった。
ルセンティスは黄斑浮腫に関与するVEGFの選択的阻害で、網膜静脈での血管透過性の亢進を抑制。静脈からの血液や血液成分漏出の抑制で黄斑浮腫は軽減し、視力も改善すると説明。必要に応じた投与で、視力改善効果の長期間持続が確認されたという。
病的近視(PM)における脈絡膜新生血管(CNV)
PMは角膜から眼底までの眼軸長が異常に伸びるため、網膜や脈絡膜が後部に引っ張られ眼底出血や網膜剥離が生じ、視力障害が現れる病態。網膜に切れ目ができると、異常な血管であるCNVの発生もある。CNVは出血や血液成分の漏出が起こりやすく、黄斑部の中央付近に発生するとものが歪んで見え、視力が低下、その部分の視野が完全に欠ける場合もあるという。強力な血管新生作用を示すVEGFの関与が原因とされ、効果のある既存治療はなかった。
ルセンティスはCNVに関与するVEGFの選択的阻害で、網膜毛細血管でのVEGFの血管新生作用を抑制し、CNVの発生および進行を抑制。PMに伴うCNVによる視力障害の患者に年間2回の投与をした結果、視力低下が改善し、その改善効果の長期間維持が確認されたとしている。(馬野鈴草)
▼外部リンク
ノバルティスファーマプレスリリース
http://www.novartis.co.jp/