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肝臓の糖取り込み機能をコントロールする分子「Sirt2」を特定-金沢大

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2018年01月17日 PM12:00

肥満や2型糖尿病で低下する肝臓でのブドウ糖取り込み機能

金沢大学は1月5日、肝臓のブドウ糖を取り込む機能をコントロールする分子「」を世界で初めて特定したと発表した。この研究は、同大新学術創成研究機構革新的統合バイオ研究コア栄養・代謝研究ユニットの井上啓教授、渡邉一史研究員(日本学術振興会特別研究員)らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Nature Communications」に掲載されている。


画像はリリースより

肝臓は、食事により血液中に流入するブドウ糖の3分の1を取り込むことによって、食後に急激に血糖値が上昇するのを防ぎ、血糖値を正常に保つために重要な役割を担っている。肥満や2型糖尿病では、肝臓のブドウ糖を取り込む機能(糖取り込み)が低下しており、食後に血糖値が上昇する原因となっている。しかし、肥満や2型糖尿病での肝臓の糖取り込み障害がどのように発症するのかは不明だったという。

Sirt2機能の低下が肝臓の糖取り込み障害や高血糖を引き起こす

肝臓での糖取り込みは、糖取り込み酵素であるグルコキナーゼとその制御因子であるグルコキナーゼ調節タンパク質(GKRP)によって調節されることが知られている。グルコキナーゼは、GKRPと結合している状態では働くことができず、GKRPから解離することで活性化して糖取り込みを促進する。

今回の研究では、グルコキナーゼとGKRPが解離するには、Sirt2の脱アセチル化作用によってGKRPのアセチル化修飾が取り除かれる必要があることが判明。Sirt2が働かず、肝臓での糖取り込みが低下している肥満マウスモデルでは、GKRPのアセチル化修飾が増加し、GKRPはグルコキナーゼと強く結合してグルコキナーゼの働きを抑制していたという。一方で、肥満マウスモデルでSirt2機能を回復させると GKRPのアセチル化修飾は減少し、GKRPはグルコキナーゼと解離できるようになり、糖取り込み障害が改善。さらに、Sirt2が働かない状況下でもアセチル化修飾されないGKRPを作製し、肥満マウスモデルの肝臓に導入したところ、糖取り込みが増加し、血糖値の上昇が抑制されることも明らかとなったとしている。

今回の研究結果では、肥満マウスモデルでは肝臓のSirt2機能が低下し、Sirt2機能の低下が肝臓の糖取り込み障害、さらにはそれに伴う高血糖を引き起こすことを解明した。研究グループは、「肥満や糖尿病の病態の解明だけでなく、肝臓のSirt2を標的とした新しい糖尿病治療薬の開発につながることが期待される」と述べている。

 

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