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ミトコンドリア病の発症原因の一端解明-熊本大

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2018年01月12日 PM12:45

心臓、骨格筋や神経の機能が低下する難治性疾患

熊本大学は1月11日、ミトコンドリア病の発症メカニズムの原因の一端として、機能性アミノ酸の一種であるタウリンがミトコンドリア内外におけるタンパク質の産生と品質維持に重要であると発表した。さらに、特定の化学物質によってタンパク質の品質を維持することでミトコンドリア病の症状を改善できることを突き止めたとしている。この研究は、同大大学院生命科学研究部の魏范研准教授、東京大学の鈴木勉教授らの研究グループによるもの。研究成果は、科学誌「Cell Reports」オンライン速報版で公開されている。


画像はリリースより

ミトコンドリアの損傷はさまざまな病気を誘発するが、中枢神経症状や種々の臓器症状を引き起こす難治性疾患のミトコンドリア病が知られている。ミトコンドリア病では、タウリンの働きが低下することがわかっていたが、タウリンの働きの低下がなぜ重篤な病気を誘発するのか、その詳細な分子機構は不明だった。また、これまでミトコンドリア病に対する有効な治療薬や治療法は見つかっていなかった。

タウロウルソデオキシコール酸で症状の緩和に成功

研究グループは、タウリンの働きが低下している細胞やモデルマウスを、質量分析法や遺伝子工学など先進的な研究手法を用いて分析。ミトコンドリアの中ではタンパク質の産生がほぼ停止していることがわかった。その結果、ミトコンドリアで産生されるタンパク質の量が劇的に低下し、ミトコンドリアの機能や構造が崩壊したという。

また、この崩壊により、ミトコンドリアの外(細胞質)で産生されてミトコンドリアに輸送されるさまざまなタンパク質は行き場を失い、やがてこれらのタンパク質の構造が壊れて毒性の高い凝集体として細胞質に蓄積していた。この凝集体の蓄積を抑制する化合物としてタウロウルソデオキシコール酸()をタウリンの働きが低下している細胞や、ミトコンドリア病のモデルマウスに投与したところ、凝集体による細胞毒性が低下し、ミトコンドリア病の症状を緩和することに成功したという。

今回の研究は、MELASやMERRFなどタウリンの機能低下によるミトコンドリア病に対する治療薬の開発につながる。TUDCAは、イタリアなど欧州で肝疾患の治療薬として使用されており、医薬品としての安全性が確かめられている。今後は、TUDCAがMELASやMERRFなどのミトコンドリア病の治療薬となるかを調べるための臨床研究を実施することを計画している、と研究グループは述べている。

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