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口腔がんが産生するVEGF、VEGF-Flt-1経路を介して顎骨浸潤に関与-広島大

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2017年11月22日 PM12:30

破骨細胞の遊走に関わるVEGF受容体「Flt-1」

広島大学は11月15日、口腔がんが産生する血管内皮増殖因子()がVEGF-Flt-1経路を介して破骨細胞を誘導し、顎骨浸潤に関わることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬保健学研究科口腔顎顔面病理病態学研究室の宮内睦美准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「」に掲載されている。

頭頚部がんは世界で6番目に多く、90%が扁平上皮がんで、主に口腔領域に発生する。特に歯肉の口腔がんは顎骨への浸潤を起こし、骨浸潤を起こした患者の治療は難しく、予後は悪い。

VEGFは血管内皮細胞に作用し、腫瘍血管形成を誘導することで、がんの増殖や浸潤を促進するため、がんの増殖、浸潤、転移などの悪性形質において重要な役割を担っている。VEGF受容体のひとつであるFlt-1はマクロファージや破骨細胞前駆細胞にも発現し、破骨細胞の遊走に関わることが、これまでに報告されていた。

54例中42例でVEGFが発現、骨破壊進行例が多く

今回、研究グループは、広島大学病院を受診した54例の歯肉の口腔がん症例のVEGF発現とX線的顎骨破壊の程度やFlt-1陽性の破骨細胞出現との関係性を検討。その結果、42例(77%)の症例がVEGFを発現していることが明らかになった。また、VEGFを発現している症例は骨破壊進行例が多く、口腔がんと骨界面に出現するFlt-1陽性破骨細胞数が有意に増加していたことから、VEGF産生口腔がんは高い破骨細胞性骨吸収能を有することも明らかになったという。


画像はリリースより

さらに、骨吸収におけるVEGF-Flt-1経路の重要性を明らかにするために培養細胞を用いた実験を行ったところ、胎盤増殖因子(PlGF)で骨髄由来単核細胞(BMC)を刺激すると、Flt-1経路が活性化され、多数の破骨細胞が形成された。がん細胞自体もFlt-1を発現するため、PlGFでFlt-1経路を特異的に活性化したところ、セリン/スレオニンキナーゼ(Akt)や分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(ERK1/2)の活性化を介して、TNFリガンドファミリーに属する膜結合型サイトカイン(RANKL)発現が上昇。BMCと口腔がん細胞の共培養で誘導される破骨細胞形成は、VEGFチロシンキナーゼ抑制剤やRANKL中和抗体によって有意に抑制され、VEGF-Flt-1経路の活性化によってがん細胞に誘導されるRANKLが破骨細胞の活性化に関与することが明らかになったという。

今回の研究結果を受け、研究グループは今後、がん細胞自体の増殖や浸潤能におけるVRGF-Flt-1経路の役割について明らかにし、VEGF-Flt-1経路を標的とした口腔がんの制御方法を開発していきたい、と述べている。

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