オピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑制
大塚製薬株式会社とデンマーク・H.ルンドベックA/Sは10月17日、アルコール依存症患者における飲酒量を低減する治療薬として「ナルメフェン塩酸塩水和物」の国内製造販売承認申請を行ったと発表した。
画像はリリースより
ナルメフェンは、飲酒のおそれがあるときに服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑制する選択的オピオイド受容体調節薬。オピオイド受容体は、脳内報酬系や情動制御、痛みのコントロールなどを司り、3つのサブタイプ(μ、κ、δ)が知られている。同剤は、μオピオイド受容体およびδオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用し、飲酒欲求を抑制するという。
大塚製薬とルンドベック社は、アルコール依存症患者の飲酒量を低減する薬剤として同剤の開発を共同で進めてきた。すでに販売を開始している欧州では、アルコール依存症で健康リスクが高いとされる飲酒量(High RiskおよびVery High Risk:成人男性では1日60g超、女性では1日40g超のアルコール摂取)を低減させるという適応をもつ。
多量飲酒した日数のベースラインから12週時の変化量が有意に低下
第3相臨床試験では、ナルメフェン10mg/日投与群、20mg/日投与群、プラセボ投与群に分けて24週間投与。その結果、主要評価項目の多量飲酒した日数のベースラインから12週時の変化量において、ナルメフェン10mg投与群、20mg投与群ともに、プラセボに比べて有意差が認められたという(P<0.0001)。また、治療期の24週時まで効果は維持された。重要な副次的評価項目の総飲酒量でも、両投与群ともに有意な低下が認められているという(P<0.0001)。
長期投与試験でも、多量飲酒した日数、総飲酒量ともに試験終了時まで減少が維持されたという。発現した有害事象は、悪心、浮動性めまい、傾眠などであり、多くが軽度または中等度で、長期投与により発現率あるいは重症度が高くなるものはなかった。また、同剤による依存性や離脱症状は認められていないとしている。
なお、最新のアルコール依存症に対する診断・治療ガイドラインでは、飲酒量低減治療が、断酒に導くための中間的ステップあるいは治療目標のひとつとして位置づけられている。
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