EGFR変異陽性非小細胞肺がんに対する一次治療の有用性を検討
アストラゼネカ株式会社は10月16日、「タグリッソ(R)錠40mg/80mg」(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)について、EGFR変異陽性非小細胞肺がんに対する一次治療の有用性を検討したFLAURA試験の全集団と日本人サブグループ解析の結果を発表した。
タグリッソは、「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」を効能・効果として、2016年3月28日に国内製造販売承認を取得し、5月25日より販売を開始した抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤。これまで、肺がん治療における薬剤耐性の課題に応え、個別化医療をさらに進展する新たな治療選択肢として、米国・欧州を含む40以上の国で承認を取得している。
FLAURA試験は、局所進行あるいは転移性EGFR変異陽性NSCLC患者556例を対象とし、同剤80mg1日1回投与の有効性および安全性を、標準的な治療であるゲフィチニブまたはエルロチニブと比較検討した第3相国際臨床試験。全集団の解析結果は、2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次学会で発表されていた。
全集団の解析結果と一貫した効果示す
試験の結果、全集団556例を対象とした解析において、同剤は、現在の標準的な治療(ゲフィチニブもしくはエルロチニブ)と比べて、主要評価項目であるPFS中央値は、同剤群で18.9か月、対照群で10.2か月と、同剤群で統計的に有意な延長を示し、PFS中央値を8.7か月延長した。また、脳転移の有無別のPFS中央値では、脳転移を有する症例の同剤群で5.6か月の延長、脳転移を有さない症例の同剤群で8.2か月の延長を示し、同剤は脳転移の有無を問わず、効果を発揮することを示したとしている。
グレード3以上の因果関係を否定できない有害事象の発現率は、同剤群18%、対照群28%。最もよく見られた有害事象は、同剤群では下痢(58%[グレード3以上2%])および皮膚乾燥(32%[グレード3以上1%未満])、対照群では下痢(57%[グレード3以上2%])およびざ瘡様皮疹(48%[グレード3以上5%])だった。
日本人サブグループ解析は、同試験に参加した120名の日本人患者を対象として行われ、主要評価項目のPFSは、同剤群で19.1か月(中央値)、標準治療群で13.8か月(中央値)と、PFS中央値を5.3か月延長し、全集団の解析結果と一貫した効果を示した。日本人患者における最も高頻度にみられたグレード3以上の有害事象は、同剤群でリンパ球数減少(6%)、標準治療群でアラニン・アミノトランスフェラーゼ上昇(20%)だった。
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