約10年前より重症虚血肢に対し、先進医療Aとして実施
京都府立医科大学は10月12日、「バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生療法」の臨床試験を「先進医療B」として開始すると発表した。この試験は、同大附属病院循環器内科の的場聖明らを中心に、名古屋大学医学部附属病院、広島大学病院、横浜市立大学附属病院、久留米大学医学部附属病院および信州大学医学部附属病院の計6施設で実施される。
自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法は多くの基礎実験を経て、約10年前より重症虚血肢に対し先進医療Aとして実施されてきていた。同手法は、薬物治療や血行再建術等の従来の標準治療では、虚血症状の改善を認めない最重症の症例に対し、微小な末梢血流を新生させることにより、多くの重症虚血肢患者の肢切断が回避できている。
特にバージャー病や膠原病に伴う血管炎などの非動脈硬化症例に対しては、より効果が顕著で、同治療後10年間の大切断回避率は、80%以上との報告もあるという。また、長期の生存率については、従来の治療群と比べても改善しており、有害事象の発生は極めて少なく、安全性の面でも問題なく治療が施行されているという。
京都府立医科大学附属病院はすでに試験登録開始
今回、この治療のさらなる有効性を評価するため、先進医療Bとして「バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生療法」の多施設共同臨床試験の実施が、10月3日付けで厚生労働省より認可された。京都府立医科大学附属病院は試験登録が開始されているが、他5施設においては、協力医療機関として特定認定再生医療等委員会にて承認されている段階。協力医療機関として厚生労働省へ申請し、受理され次第、試験登録が可能になる。
同試験は多施設共同、シングルアーム試験として行われ、薬物療法や運動療法、血行再建術などの現在保険収載されている標準治療に難治性の重症虚血肢を対象とし、組織皮膚灌流圧(SPP値)や組織酸素分圧(TcpO2値)の改善や潰瘍径の縮小等の重症虚血肢における組織治癒評価項目を測定。自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の有効性を評価する。
研究期間は3年間。有効性の評価は、登録時と移植後6か月時の患肢SPP値の変化量を主要評価項目とし、副次評価項目として潰瘍径の縮小やTcpO2値、安静時疼痛の軽減などを評価し、またこれまでと同様に安全性評価項目として大切断回避率と生存率の評価を行うとしている。
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・京都府立医科大学 プレスリリース