医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > CTEPHに対するバルーン肺動脈形成術、治療後の長期予後も改善-東北大

CTEPHに対するバルーン肺動脈形成術、治療後の長期予後も改善-東北大

読了時間:約 1分28秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年09月28日 PM02:30

長期血行動態と治療後の経過を検討

東北大学は9月26日、)に対する肺動脈バルーン形成術の長期の血行動態と治療後の経過を検討し、同治療法が効果的かつ高い安全性を示したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授、杉村宏一郎講師、青木竜男院内講師らの研究グループによるもの。研究成果は「European Heart Journal」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

国の指定難病であるCTEPHは、体を動かす時に息苦しく感じる・すぐに疲れるといった症状が現れる難治性の疾患で、日本国内での患者数は2,140人(2013年度)と報告されている。近年、従来の手術が適応できない“末梢型”CTEPHに対し、肺動脈バルーン形成術が行われており、肺動脈圧や運動能に対する短期的な改善効果が報告されている。

初回術後の5年生存率98.4%

研究グループは、東北大学病院循環器内科において“末梢型”CTEPH患者に新しい治療法であるバルーン肺動脈形成術を適用し、その治療効果を検討。2009年7月から2016年10月までの間に初回の肺動脈バルーン形成術を施行した84名のうち、治療が完了した77例を対象に、治療効果の指標である平均肺動脈圧6分間歩行距離などを計測した。その結果、平均肺動脈圧は38±10mmHgから25±6mmHgに、6分間歩行距離は380±138mから486±112mにそれぞれ改善。また、これらの改善は慢性期においても持続していた(追跡期間43±27か月)。

合併症については、84例(424セッション)中、血痰を14%(60セッション)で認め、マスク式の人工呼吸器は8%(33セッション)で施行。経口挿管による人工呼吸器管理を必要としたのは0.2%(1セッション)であり、手技に関連した死亡はなかった。

さらに、初回肺動脈バルーン形成術施行後の5年生存率は、98.4%(N=77)であり、肺動脈バルーン形成術が施行可能となる以前の患者(未施行群)の5年生存率(77.5%)と比較すると、肺動脈バルーン形成術が有意に予後を改善していることが明らかになった。これらの結果により、CTEPH患者において、肺動脈バルーン形成術は安全に施行でき、肺動脈圧と運動能を改善し、治療後の長期予後も改善することが示されたとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 糖尿病、インクレチン関連薬使用中はグルカゴン応答性インスリン分泌低下-岐阜大ほか
  • 抗がん剤耐性の難治性腫瘍、薬剤耐性で出現のネオ抗原用いる免疫療法が有望-理研
  • ADHDの人でも行いやすいマインドフルネス瞑想の姿勢を解明、尺度も開発-立命館大
  • 急性腎障害、マクロファージ転写因子MAFBによる炎症制御機構を解明-筑波大
  • 食品の摂取頻度・嗜好の違い、日本人の男女別特徴を明らかに-藤田医科大