マイクロRNAが患者を特定する
京都大学の研究グループは関節リウマチ患者の血液で2種類のマイクロリボ核酸(RNA)が増加していることを発見した。
(Wikiコモンズを利用)
関節リウマチは関節破壊が進行して日常生活に障害が生じる疾患で早期診断・早期治療が重要とされる。リウマチ因子や抗CCP抗体などの検査を用いるが、早期の患者の3割ほどに陰性の結果がでて、確定診断が遅れる場合がある。
今回、関節リウマチ患者104名と健常人102名の血漿で768種類のマイクロRNAの発現を解析したところ、患者の血漿中のmiR-24とmiR-125a-5pが増加していた。測定すると、miR-24とmiR-125a-5pはそれぞれ63.7%と53.9%の感度、89.5% と89.5%の特異度を示した。安定して発現するmiR-30a-5pをこれら2つのマイクロRNAと組み合わせた複合値にした結果、より高い感度(78.4%)と特異度(92.3%)になった。抗CCP抗体が陰性でもこの複合値で患者を区別することができた。
関節リウマチの診断に
マイクロRNAはがんの診断に効果的とされているが、関節リウマチでも血漿中の特徴的なマイクロRNAが陰性の患者の診断に有用であったことから、新しい種類の検査マーカーとなりえるとわかった。
研究では関節リウマチをある程度まで発症している患者を対象としたため、今後は発症前や早期の患者を対象として効果があるのか、治療によってどう変化していくのかを調べる必要がある。さらにマイクロRNAには遺伝子を抑制する働きがあり、miR-24とmiR-125a-5pが制御する遺伝子や関節リウマチとの関わりが明らかになれば、早期診断に加え、新しい治療法の開発も期待できる。(馬野鈴草)
▼外部リンク
京都大学プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/